第68話 魔王の部屋
「何ですか! 何ですかこの人!? 何ですかあなた達は!」
涙目の女の子は、メイド服に近い服を着ていた。
けれども、メイドにしては髪をまとめて縛っているわけでもない。
メイドっぽくプリムは付けているが、機能性に乏しく、スカートはミニだし、黒いロングストレートの髪も縛るどころかまとめてすらいない。
どうにもファションでアレンジしたメイド服を着ているような感じだろうか?
「……はっ!」
呆然と立ち尽くしていたフリル達を前に、何かを思い出す魔族の女の子。
「くっくっくっ、わが主の城に来ようという度胸だけは認めてやろう。だが、お主らはわが主どころか我にすら敵わーーーーーーーーーっ!」
「おいおい、ストライプ、口上くらい聞いてやるのが騎士道ってもんだぞ?」
「……街道で強盗してた方がそんなことを言うのね」
フリルのツッコミに更にワインが突っ込んだ。
フリルは自分が王女でありまた戦って来たという面から言ったのだが、そう言い返すと王女であることを前向きに肯定してしまうので言えずに、ぐぬぬぬってなった。
「で、俺たちは魔王に会いに来たんだ、いるなら案内してくれよ」
「何故我が貴様らなどにーーーーーーーーーっ!」
今度は怒らないってことは、今のタイミングはばっちりだったってことだね。
それともワインのツッコミが思った以上に効いてるか。
「で、どこにいるんだ?」
「…………」
魔族の子は、フリルを睨むだけで何も言わなかった。
「おいストライプ」
「ちょっと待って! 言います言いますからーーーーーーーーーっ!」
叫ばされた。
「やめて
おしり
いたい」
ここに、やおいという言葉が誕生した。
「うん……さすがにそろそろ連れて行ってはくれないか? お前も痛いのは嫌だろ?」
攻めていたフリルも、さめざめと泣きだした女の子を見て、同情を始めた
「はい……分かりました。ですけど……お話しすることは無理ですあーーーーーーーーーっ!」
「ストライプ、やめろ、もういい」
「ふにゃ~」
ストライプが引き下がる。
「悪かったな? で、どういうことだよ?」
「はい、まずはご案内します」
そう言って女の子はみんなを連れて移動する。
玉座に一旦戻り、奥の扉に入る。
廊下の向こうは魔王の居間のようで、広い部屋の奥にはベッドもある。
そこに、誰かが眠っていた。
「あれが、魔王……?」
「はい」
メイドかどうかは分からないが、手下がわざわざ敵になると思われる彼女たちを、魔王の居間まで連れて来た。
しかも本人はベッドの上にいるのに。
それは無礼も極まりない行為だ。
だけど、それはただの感傷でしかない。
「お、おい、これ……」
「死んでるの……?」
何故なら、魔王は死んでいたからだ。
朽ち果てかけた、魔族と思しき存在。
その胸には大きな穴が空いており、おそらく即死だったと思われる。
「魔王様は、半年前に、お亡くなりになられました……殺されたのです」
魔王が死んでした。
半年前に死んでいた。
いや、それなら──。
「だったら、レザーの呪いは誰がかけたんだよ……?」




