第62話 リボンの超スキル
とりあえず朝食は宿が出してくれたので、問答無用でそれにすることが出来た。
パンとジュース中心だったので、ストライプが「狩りに行ってくるにゃ!」と言いかけたが、ワインが止めた。
そして、馬車に乗ってみんなで移動を開始した。
リボンは初めて乗るけど、その大きさに驚いていた。
「じゃ、そろそろ──」
「狩りに行ってくるにゃ!」
「違え! 移動だ! 高速移動するから絶対降りんなよ?」
「私なら追いつける」
「ノーパンで高速移動すんな!」
「お前はノーパンなのかにゃ! はしたない女だにゃ!」
「理不尽この上ない」
「お前のような女にはおしおきにゃ!」
「あーーーーーーーーーっ!」
「…………」
よくある一連の光景にリボンが引いていて、それを見たブラックが「あたしもちょっと前まではああだったわね……」とか懐かしく頷いていた。
そして、何事もなく、馬車は移動を開始した。
なんかリボンも馬車の運転は出来るらしいけど、ワインが「大丈夫よ」って言ったから馬車の中に引きこもることにした。
ちなみに馬車の中で座る位置を間違えて、ストライプの危険区域に座ったので、狙いを定められたので、気配を消したらストライプはそのままいつも通りノーを襲ったのでほっとするリボン。
なんでこんな心休まるはずの安全な馬車の中で、気配を消さなきゃならないのか。
いや。
リボンはふと考えた。
ストライプは誰もが恐れるフィンガーを持つ者。
速度も力も技も視力も、人並み外れている。
だが、自分が気配を消せば、気づかれない。
リボンもここに入ったばかりで、みんなも彼女がどのくらい凄いのかも分かってはいない。
ここらで自分の凄さを教えるべきではないだろうか。
リボンは潜伏しつつ、ストライプに近づく。
ノーを叫ばせた後、ブラックに狙いを定めているストライプの後ろから近づく。
「こっち来るんじゃないわよ! あっちに行きなさい! ほら、ノーとかお勧めよ?」
「人を勧めるのはいいことではない」
「あんた慣れてるからいいじゃないの! あたしはこれされると痛いのよ!」
「私も痛いから叫んでいる」
「二人ともするにゃ! まずはお前だにゃ~……うにゃ?」
今まさにブラックに飛びかかろうとしたストライプがこてん、と床に膝をつく。
何が起こったか、本人も分からにうちに──。
「ふにゃーーーーーーーーーっ!」
ストライプは叫んでいた。
「ふふふ、あんたなんて私にかかればこんなもんよ。これからは私が許さないから、あまり我儘ぁーーーーーーーーーっ!」
「何するにゃ!」
「あーーーーーーーーーっ!」
「もう許さんにゃ!」
「あーーーーーーーーーっ!」
「やられたらやり返すにゃ!」
「あーーーーーーーーーっ!」
あまりの事にただ茫然と、みんなその地獄絵図を見ていた。
我に返ったフリルが止めるまで、何度もそれが繰り返され、その頃にはもうリボンは立ち上がる力も残っていなかった。
レザーは、あ、この子本当に大きなリボンなんだ、とか心で思っていた。




