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第61話 旅の目的を知らない子たち

「今日は遅れた分を取り戻してえな?」


 フリルはパンに確認する。


「そうですね。この馬車のおかげでエラジクも近くなりましたけど、昨日は大きなロスになりましたからね……とは言っても、特に予定が決まった移動でもないですけど」

「そんなことはいいんだよ。さっさと行こうぜって話だよ!」


「どっちでもいいにゃ~」

「ところでこれは何の旅なのか」

「……昨日私に言ってたから聞いてたでしょうが」


「お前らちょっと並べ!」


 フリルが言っても、レザーとブラックくらいしか並ばなかったので、パンが気を遣って並んだ。


「俺たちの旅の目的はなんだ? ノー!」

「セックスをすること」

「ちがーう!」


「私は順番待ち。フリルがしないからいつまで経っても出来ない」

「ちょ……いや、そうじゃねえっ! 話を逸らすな!」


 ノーは全く話をそらしてはいないと思うが。


「俺たちの目的は魔王を倒すことだ!」

「私にとってはそれはついでの話に過ぎない」


「お前うるさいにゃ!」

「あーーーーーーーーーっ!」


 来ると思っていたけど、ちょっと遅かったね?

 フリルは自分がこれを待っていたことに少し自己嫌悪した。


「とにかく、魔王を倒して、レザーを呪いから救うんだよ!」

「え? そんな話でしたっけ?」


「そう言えば言ってなかったか? 最初はレザーが魔王を倒しに行くとか言ってたから、何言ってんだこいつ、って思ったけど、弱そうだったからついて行ってやろうって思ってたんだが、後からこいつが呪われてるって聞いてな」

「フリルさんっ!」


 レザーが、止める。

 レザーとしては、魅力が上昇していることをあまり知られたくはないのだ。

 女の子たちが、自分について来ていることそのものに疑問を感じることになってしまっては、これまでのような団結がなくなってしまうかも知れない。


 ところで、並べと言われても並ばない彼女たちに団結ってあるんだろうか。


「ま、とにかく俺たちは魔王退治を目指してるんだ。倒せたらお前ら全員伝記に名前が載って、永遠に語り継がれるんだぜ?」


「興味ないにゃ」

「永遠にノーパンであったことが語り継がれるのか」


「うるせえ、俺なんてフリルだぞ! レザーなんて包茎ってことが──」

「フリルさんっ!」


 レザーはフリルを止めようとして、動いたけど、ノーに次ぐ緩慢な動きの彼は、フリルがばらしてから、しかも止め方を間違えたのか、その手を思いっきりフリルの胸に押し当ててしまっていた。


 ラッキーじゃないけどスケベではある。


「てめえ、何してんだよ! この包茎野郎が!」

「すみませんすみません!」


 フリルは顔を赤くして、レザーの頭を自分の腕に入れてヘッドロックする。

 さっき当てられ今怒っているその胸をレザーの顔に押し付けていることにも気づかずに。


 さて、これでレザーの魅力の事は誰にも広まらなかったが、包茎ということは広まってしまった。

 だけど、みんなあまり男の子のちんちんを見たことがないような乙女な子たちなので、よく意味を分かっていなかった。


 ノーだけは「初めては痛いかも知れないけど、それは私も同じ」と言って、意味不明だったのか、ストライプフィンガーで叫ばされていた。


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