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第50話 落ちるとかどうでもよく、ただおっぱい。

「どうしよう……?」


 レザーは表から大きな音が次々としてくる状況に、ただ怯えていた。

 これで、彼女たちが負けたら、自分はどうなるのだろう?

 あのケットシー達のおもちゃとして、ここでずっと精を搾られ続けるのだろうか?


 彼女たちは可愛かった。

 あの子たちのおもちゃになることは、どきどきする。

 そんなレザーはどうして今すぐにでも、窓から絶壁に飛び降りないんだい?


 ……がさっ


「……え?」


 表の方の騒音とは別に、窓の方から物音が聞こえてきた。

 風のようなものじゃない。

 この場所には、他にも生き物がいるのだろうか?


 がさっ……がさがさっ……


「な、なに?」


 これは確実に動物だ。

 何かが窓の外にいる。


 これはまずい、何しろ彼は、おそらくパンにも勝てないほど弱いのだ。

 彼の魅力が分からない動物相手となると、襲われるがままだ。


 がさがさがさがさ……ドンッ!


「わぁっ! た、助けて!」


 レザーは慌てて戦闘中の表に向かおうと思ったが、鍵が閉まっていて開かなかった。


 ガンッガンッ! ドンッ!


「わぁぁぁぁっ! 助けてぇぇぇんぐっ!」

「静かにしろ!」


 後ろから、口を塞がれる。


「戻るぞ? 話は後だ」


 この声、この感触、この匂い。

 レザーはそれがフリルだと分かる。


「よか……うわっ!?」

「話は後だって言ってんだろ! 来い!」


 フリルはレザーを抱きしめるように抱え、そのまま──。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


 そのまま、崖から飛び降りた。

 何の綱もないまま飛び降り、レザーをぎゅっと抱きしめる。


「暴れるな。俺を信じろ……!」


 優しくレザーの耳元でそう言う。

 その時、レザーは顔の前がフリルの胸だということに気づく。

 これまでもレザーと密着したことは何度もあるが、胸に顔を押し付けたことはこれが初めてだ。


 こう見えてフリルは身持ちが堅い。

 胸もなかなか触れられないし、裸も他の子たちの手前、下着姿くらいは平気な顔をしているけど、見てると怒られる。

 そのフリルの胸が顔面にある。

 そう考えると、心が穏やかになるレザー。

 レザーは一度一番痛くてむごたらしい死に方をして欲しい。


 このまま落ちて死ぬとか、それでももういいと思ったその瞬間。


 ぼすん


 軽い衝撃とともに、柔らかい何かに包まれる感触があった。


「うまく行った」

「行きましたね」


 ノーとパンの声が聞こえる。

 姿は見えない。

 何故なら顔面にフリルの胸があるからだ。


「ふう……さすがにちっと怖かったぜ……」


 脱力し、フリルの全身の力が抜けるのが分かる。

 そうか、フリルは崖から飛び降りて、下でノーが待機していて、落ちる前に空気魔法か何かをクッションにして止めてもらったのだ。


 とは言え、あの高さから飛び降りるのはかなり勇気が必要だったはずだ。

 レザー一人では絶対に無理だった。


「……ていうか、おい、レザー、てめえいつまでくっついてんだよ?」


 バレた。

 胸にくっついたままなのがばれてしまった。

 いや、そりゃバレるだろう。

 だが、引き離されるまではこの感触を味わおう。

 レザーは馬鹿だから先の事は考えない。


「…………? おい、レザー?」


 フリルの口調が変わる。


「っ! おいっ!」


 勢いよく引き離され、顔をじっと見られる。

 その表情は驚いているような、心底から心配しているような、そんな表情だった。


「…………?」

「……こ、こんにちは」


 じっと、顔を見られるレザー。

 目の前のフリルの表情が、驚きから、不思議そうになり、そして、怒りに変わるまで、ほんの数秒しかなかった。


「て、てめえ、俺の胸の感触を味わってやがったな!」

「ひっ! ごめんなさいっ!」


 怒鳴られて、殴られると思い、身を縮めるレザー。

 だが、フリルは──。


「んぐっ!?」


 再び、レザーを自分の胸に押し付けた。


「……今日だけだからな?」


 フリルは、そう言って黙った。

 だから、レザーも黙って胸の感触を味わうしかなかった。


 なんだこいつ。


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