表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/111

第47話 似てる姉妹でもなんかいた

「ここが私の住処ですわ」


 レザーが連れて来られたのは、やっぱり小高い丘の山荘だった。

 妹と似ていることをしてて、似たところに住んでいる辺り、本当に姉妹の血が流れているのは分かる。


「あなたは本当に魅力的だわ。あの子が鍛えて強くして結婚したいと思うのも分からくはないくらい」


 顔の目の前で、美人のお姉さんにそう言われて何かを答えられるほど、レザーは出来た人間ではない。


「だから、あの子たちのいい餌になると思うわ」


 そう言って、頬を寄せるライサナ。

 ここにきて、初めて背筋がぞっとするレザー。


 餌にされるということはつまり、そういうことだ。

 ライサナはおそらく野獣のようなものをペットにしているのだろう。

 その餌として、レザーを食わせる、ということだ。


「注意しなさいよ、あの子たちは私でも手が付けられないくらい獰猛な子だから」


 震えが止まらない。

 汗がどんどん出てくる。

 初めて、死を身近に感じた。


 逃げることを考えなければならない。

 だが、力もなく、頭も悪い自分がどうすればこいつから逃げられるだろうか?


 そんなことは不可能だ。

 少なくとも、すぐには思いつかない。

 だから、待つしかない。

 彼女たちが助けに来てくれるのを待つしかない。


 ただ、来てくれるだろうか?

 彼女たちは自分を魅力的な人間だと思っているから、ついて来てくれるのだ。

 それは女神が言った通り、自分の魅力が高いからであって、本当の自分の魅力は高くすらない。


 一旦離れたことで、それでも来てくれるだけの価値が、自分にあるのだろうか?

 そんなことがどうしてもう不安になる。


「さあ、入ってくださいまし。あの子たちも待っているわ」

「あ、はい……」


 ライサナに続き、レザーは家の中に入る。


「お帰りだにゃー!」

「なんだこいつにゃ?」

「可愛いにゃー。性交()ってもいいのかにゃ?」


 彼らを迎えたのは、猫耳に猫尻尾の小柄な女の子三人。

 そう、彼女たちは純血のケットシー三匹だった。


「今はまだ駄目だわ。明日の朝なら食べてもいいわ」

「今すぐ食べたいにゃ!」

「いただきまーすにゃ!」


「待てと言っているわ!」


 びくん、と三匹のケットシーの動きが止まる。


「明日になったら、好きにしていいから、今日は我慢しなさい」


「分かったにゃー」

「明日が楽しみだにゃー」


 そう言ってぞろぞろと奥へと帰って行く。

 レザーは馬鹿なので、ほっとしただけだが、これは実際は考えられないことだ。


 ケットシーという種族は、人間やエルフよりも強く、だが、自由奔放で絶対に人に飼いならせないはずだ。


 まあ、簡単に言うと、ケットシーハーフであるストライプよりも強く、自由奔放なのだ。

 そのケットシーが三匹もいて言うことを聞かせるということは、普通のことではない。


 それを従わせている、というライサナという女の実力の程は並大抵ではないということだ。


「入りなさい? あなたはずっと私と共にいればいいわ。私から離れるとあの子たちに襲われるかもしれないわ。あの子たちは、人間の男の子が大好物だから」

「は、はい……」


 レザーは、ライサナと一緒に明日まで過ごすことになった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ