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第44話 清潔感に疑問を持たない彼女たち

 馬車は全員を乗せて進むが、後ろで騒いでいると、馬車を操縦しているワインが独りぼっちで拗ねるので、パンが話し相手になっていた。


 何度も言うけど、全体に気が使えるのが十歳の子ってのはどうなんだろうね。

 ストライプもフリルに叱られて大人しくはしている。


 まあ、フリルもこれまでストライプの尻穴攻撃には何も言ってこなかったけど、自分がされてみてこれは危険だと思ったのだろう。

 全員特殊な訓練を受けているとは言え、尻穴は腸と直接つながっており、大変危険なのだ。


「ところでこれ、今日中にアスタの街まで行くんだよな?」

「あ、いえ、遠回りするので、今日はシタジカの街までです」


「は? なんで遠回りするんだよ?」

「エラニューゼで聞いた話によりますと、あの辺りに盗賊が出没するそうです。竜族の人を倒したことから、竜族殺しと呼ばれているそうです」


 あれ? どこかで聞いた話だね?


「竜族殺し? 上等じゃねえか。こっちは騎士殺しなんだ、それに仲間もいるからな。真っ直ぐ通れ」

「わ、分かりました! ワインさん、それでお願いします」

「分かったわ」


 なんか、そのまま進むことになった。

 しばらくはごとごと揺れているだけだった。

 その揺れも、足まわりが豪華なので少ないくらいだ。

 だから、寝ようと思ったらいつでも眠れるくらいだった。

 が、最初にうとうとしたノーが犠牲者になった。


「寝るにゃ!」

「あーーーーーーーーーっ!」


「だから、やめろって言っただろ!」

「寝ようとしたからにゃ! こいつが悪いにゃ!」


 べつに寝てもいいじゃん、って誰もが思ったけど、フリルがそこで黙ったので、寝ると大義名分を作られる、という間違った観念が生まれてしまった。


 ちなみに、ノーは三回やられた。

 王宮を出たのは日中間だが、早朝に出る予定だったのでみんな朝が早かったのだ。


 パンは寝ているが、前にいるので安全。

 ワインは運転しているので眠れないし、そもそもエルフはあまり寝なくてもいい。


 ブラックは手足を動かして必死に起きていて、それでも一度叫んだ。


 フリルは熟睡してるレザーを守って寄り添っている。


 レザーてめえ、ふざけんなよ。


 がくん


 馬車が速度を落とす。


「前に人が立ってます!」

「武器持ってるし、おそらく例の盗賊ね。どうするの、フリル?」


 ワインが後ろのフリルに聞く

 こっちの街道を選んだのは彼女だからだ。


「下手に近づいて、もらったばかりの馬車を壊されてもしょうがねえ。打って出るか。馬車を停めろ」

「分かったわ」


 馬車が停まり、フリルが馬車を降りる。

 続けてなんとなくレザーが降り、ぞろぞろとみんなが降りた。

 みんな結構好き勝手やる子だけど、一人取り残されるのは嫌な子たちなのかもね。


「ここを通るなら、身ぐるみ全て置いて行ってくださるかしら?」


 盗賊の女が妙に丁寧というか高貴な言葉で言う。


「もちろんするつもりはないわ」

「私なら大丈夫」

「お、お姉さま……?」

「戦うにゃー!」

「あたしは、踊ってるだけでいい?」

「あ、あの、私は見守ってるだけでいいですか?」


 それぞれが戦いに備える。

 いや、ちょっと。

 普通に流れていく雰囲気だけど、一人だけ驚きの言葉を言ったよ?

 誰が? 何を?


「あら、エリーズ、お久しぶり。何をしていらっしゃったのかしら?」

「わ、私は……魔……」

「そんな小さな声では聞こえませんわ?」


 盗賊、というかフリルのお姉さんは、ゆっくりとこちらに近づいてくる。

 あれ? フリルのお姉さん?


「フリルは、第二王女、でしたかしら?」

「ああ………逃げろ!」


 言うが早いか、フリルは馬車に戻る。


 だが、呆然とする他の子たちは何も出来なかった。


「逃げろ! そいつはヤバい! 俺の両親より遥かに強え、化け物だ!」


「人を化け物扱いとは失礼ですわね、エリーズ」


 ゆらり、と王女が動く。


「──え?」


 そして、惨劇は始まった。


「あーーーーーーーーーっ!」

「あーーーーーーーーーっ!」

「あーーーーーーーーーっ!」

「あーーーーーーーーーっ!」

「にゃーーーーーーーーーっ!」



 瞬貫。



 そこにいた五人を、あのストライプも含めて全員の尻穴を貫いたプリンセスフィンガー。

 そう、尻穴の絶対強者だったストライプすら、身動き一つ出来なかった。


 これが絶対的強者、第一王女ライサナの実力。


 ていうか、ナルケナは何人に尻穴の事言って回ってるんだよ?


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