第43話 フィンガー夫婦に馬車をもらった
「くそ……くそ……」
戦いに強く、メンタルも強いフリルちゃんがずっと泣いている。
ワインもパンも初めての時は泣いたので、十分に理解できる。
いや、全員処女だけどね?
ちなみに夜中にこっそり出て行こうと思っていたけど、王妃が馬車をくれるというので、その準備を待っていたら、昼になった。
今はみんなで馬車に揺られている。
結構高速だから、これまで歩いていいたのが何だったのかと思うほどだった。
というわけで、馬車の奥でふて寝しているフリルに何か言って来なさい、とワインに言われて、レザーが寄ってきた。
「あ、あの……」
「……何だよ?」
ほっといてくれ、という態度のフリル。
でも、何か慰めないと、と馬鹿な頭で言葉を考えるレザー。
「き、綺麗でしたよ、フリルさんの、尻穴」
仕方がないやん、こいつ、馬鹿やねん。
「ば……おまっ……!」
涙目のまま真っ赤になったフリルが、レザーを脇に抱える。
「見てたのかよ! なんで目をそらさないんだよ、この野郎!」
王の時は、目の前だったので、結構間近で見ていたレザーが気を使って目をそらす、なんて大人のテクニックを使いこなせるわけもなく。
「き、綺麗でしたから、見とれてしまったんです!」
絶対ただのエロい目的だ。
それは遠くで聞いていたワインも分かった。
だけど、フリルちゃんはそうでもなかった。
「そ、そうかよ……」
なんかまんざらでもない表情。
え? 大丈夫?
尻穴だよ?
女の子の尻穴ガン見して、綺麗だからって見とれる男だよ?
マジでそれでいいの?
「ま、俺も落ち込んでばかりいられねえな。さっさと次の町に行こうぜ?」
いや、フリルちゃん落ち込んでたから分かってないけど、もう結構なペースで次の町に移動してるからね?
「はい、あと少しでメラルの町ですけど、ここは通り過ぎて次の町を目指します。少し遠いですけど、今日中に行けますし、万一行けなくても、この馬車なら中で十分泊まれますし」
「そうか、そうだったな」
馬車は王妃からもらったものだが、内装はかなり豪華に頑丈に出来ているが、外見は結構地味になっている。
これは長距離移動の馬車は盗賊に狙われやすいので、まずは見た目を地味にしてまさか高貴な人が乗っている用に思わせないためだ。
「私の宿泊セットはもう無駄になったのか」
別に乗ればいいのに、馬車に並走して直立でついて来ているノーが言う。
馬車は速いので、長い髪はほぼ直角になびいていて、スカートも後ろから見ると完全に尻が見えているのだが、もちろん本人は気にしていない。
馬車に入らない理由は退屈で体力も温存しているストライプが一言話すたびに襲ってくる恐れがあるからだろう。
「お前はもう用なしだにゃー!」
だが、そんなに甘くはなく、ストライプはそのまま馬車からノーに飛びかかり、そのまま二人で地面に落ちる。
「あーーーーーーーーーっ!」
いつもの叫びが遠ざかっていく。
その後、馬車は停止して二人を回収し、フリルからノーも馬車に乗ること、お前は用なしじゃないことを伝えられ、ストライプにも少しは我慢しろと叱る。
こういう仕切りが出来てこそのフリルちゃんだね。




