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第41話 ある意味厚い友情

「これをお友達、そして、王宮の者たちに見られ、聴かれたことがどういうことか分かりますか?」

「分かりま……せん……」


 まだ、尻を露出したまま、もう涙声のフリルがか細い声で答える。

 答えないとまた折檻が続くのが分かっているからだ。


 こういうの何ていうんだっけ、デジタルバーサタイルだっけ。


「あなたが弱いということは全員が知ることとなりました。お友達にも下々の者にもこの痴態を見られました。あなたはもうしばらく人前に出ることは出来ません」


 王妃が人前で自分の大切な娘の恥ずかしい姿を晒したのは、フリルを逃げられなくするためだった。

 発想がヤンデレやん、あんた。

 いや、修業のために片眉剃らせるのとも似てるよね。


「あなたは強くならなければなりません。これから私の元、失われた三年を取り戻すような特訓を受けてもらいます」

「私は旅を続けます!」

「聞き分けなさい!」


 ビシィッ!


「アァァァァァァァァァァァァッ!」


 既に、腫れ上がっている尻に更に平手を受け、絶叫するフリル。


「このような痴態を晒して、これからもお友達と普通に接していけると思いますか?」


 普通ならば無理だろう。

 常識的に、年頃の女の子が、パンツを下ろされて尻を叩かれ、更に尻穴に指を突っ込まれて絶叫しているところを見られたら、生きていけないだろう。


「問題、ありませんわ……!」


 だけど、彼女たちは、違う。


「私は何も変わらない」


 むしろ、暖かく迎えてくれるだろう。


「だって、私たちは、仲間なんですし……っ!」


 とうとうフリルもこちら側に来たのだと。


「…………!」


 王妃は、彼女たちの言葉に驚き、そして、フリルを見る。

 その友情の深さに少し感動している。

 まあ、ある意味物凄く深い友情はある、ていうか今生まれた。


「失礼ですが、人間の国の王妃様」


 こういう時にワインちゃんの身分と交渉力って役に立つよね。

 あえて「人間の」とつけることで、自分がエルフという人間の偉い人って言っても関係ないよ感を醸し出してるし。


「何でしょうか? エルフのお嬢様?」

「私はエルフの国の女王ナルケナ様の命により、魔王に関する調査と、最終的にはその討伐を依頼されております」


 あれ、そうだったっけ?

 そんなこと言ってた気がする。


「私がこの方たちと行動を共にしておりますのは、彼らが魔王討伐を目指していると言っていたからですわ」


 え? そうなの?

 目指すだけなら誰にでも出来るよね。


「魔王討伐を目指すことは、つまり最強を目指すということ。そして、魔王を討伐した者は最強ということです。違いますでしょうか?」


「間違っては、おりませんね」


 王妃が神妙な表情で答える。


「では、彼女に猶予をお与えいただけませんか? 彼女は私と対等に渡り合ったただ一人の人間。私の成長のためにも必要な方であり、おそらく私も、彼女の成長のために必要な者ではないかと思っておりますわ」

「ふむ……」


 王妃は少し考える。


「分かりました。それではもう少し待つことにいたしましょう」


 王妃は、フリルのパンツを上げ、その尻を優しく撫でる。


「ですが、次に会う時も変わっていなければ──」


 スカートを下ろしつつ、少しだけ厳しい口調となる。


「両手で、行きます」

「……ひっ!」


 なんでみんな「両手」でちゃんと理解して、怯えるんだよ?


「それでは、またお友達と旅を続けることを許可します。ですから──」

「あ……っ!」


 するり、と、フリルのパンツを下ろす。

 さっきからずっと気になってたけど、そのパンツにはフリルはなかった。

 シルクのなんか高級なやつだった。


「これはもう、必要ありませんね? あなたはあなたの趣味で下着を身につけなさい」


 それを投げ捨てる王妃。


「……はいっ!」


 満面の笑みのフリル。


 なんか感動の母娘の絆っぽいけど、何だこれ?


 ちなみに投げ捨てたパンツはレザーの目の前に来たのでこっそりと回収して一生の宝物にしようと思ったけど、それをフリルに見られていて回収された。


 「欲しいなら私自身を奪えよ!」とか怒鳴られたが、もちろんチキンだから出来ない。


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