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第25話 野営をしよう

「野営にゃ! まずは食料にゃ!」

「さっき食ったばかりだろ。腹減ってるならさっきの残りを燻製にしてあるからそれでも食ってろ」

「食べられればいいわけじゃないにゃ! 狩りにゃ! 狩りをするにゃ!」


 ただの狩り好きだった。


「ちょっとは落ち着け。さて、どうやって寝るかを考えるか」

「? 普通に道端で寝るのではないの?」


 ワインはこれまで道端で寝ていたらしい、ヤバいよ、お持ち帰りされるよ。

 強いから大丈夫だろうけど、世の中には色々なのがいるよ。


「俺らだけならそれもいいんだが、人も多いからな」


 おそらく野宿なんてしたこともないであろうパンとかノーがいるので、出来れば少しは快適にしてやりたい。


「テントを持ってきた」


 ノーはそう言って荷物を下す。


「本当か? どのくらいの大きさだ?」

「三人用」


 全然足りなかった。


「頑張れば六人眠れる」


 何のチャレンジだ。

 ノーは荷物から何か大きめの塊を取り出すと、ぽん、とそれを弾けさせる。


「お? 思ってたよりでけえな?」


 それは、裕福な者たちの三人用のようで、確かにこれならもう数人も同時に眠れそうだ。


「六人が大人しく眠るなら十分なサイズ」

「『大人しく』かあ」


 フリルはちらり、とストライプを見る。

 ストライプが大人しく眠るところを想像出来ない。


「これ、布団はないにゃ?」

「毛布はある」

「毛布にゃ~眠れるかにゃ~?」


 全く心配していない口調でストライプが言う。


「ストライプはよく、私の家のダイニングで丸まって寝ているから眠れる」

「そんなことないにゃ! 私はデリケートにゃ!」


 絶対に違う、とそこにいる部外者全員が思った。


「それは一理ある」


 あるのかよ、とまたみんな思った。

 デリケートというか、周囲の音に敏感に反応するという意味ならそうかもしれない。


「一応この辺りは平和なはずだが、それでも何がいるか分からねえ。問題は明かりを灯けて寝るか、消して寝るかだが……」


 灯けて寝れば、野獣の類は襲ってこない可能性が高い、が、それは山賊なんかの類にはいい目印になる。

 最強の元賊がいる集団だが、寝込みを襲われればどうなるか分からない。


 逆に暗くしていれば、山賊からは見つかりにくいが、野獣が襲ってくるかもしれない。

 どちらがいいだろうか?


「なあ、この辺ってどうなんだ?」

「この辺りでの賊の被害はないようです」


 フリルの一言で、何が聞きたいのかを理解して、適切に返すパン。


「じゃ、明かりは灯けて寝るか。みんな、準備しようぜ?」

「夕飯はまだなきゃ?」

「食いたきゃ一人で食ってろ、ほら」


 そう言って燻製を渡されたストライプ。


「そんなんじゃ駄目だにゃ! 狩って来るにゃ!」


 だが、それに満足しなかったので、茂みに走って行ってしまった。


「じゃ、毛布敷いて明かりを灯けるぜ? 暗くなる前に終えるぞ?」


 元々準備の戦力として全く期待していなかったストライプはすぐに放置して、フリルたちは順を続けた。

 しばらくして、そろそろ寝ようか、というときにストライプが戻ってきて、獲物を見せてきて、誰か料理するにゃ、と言い出したので、しょうがないからフリルが料理してやった。


 フリルは本当にいいお嫁さんになるよ。

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