第23話 この小説は児童虐待を推奨しません
それから意外に早く、料理は出来た。
腹減ってると言ったレザーは、鼻血がやっと止まったばかりで、あまり食欲がない。
が、嫉妬したフリルに、無理矢理口に放り込まれた。
うまかった、こんなお嫁さん欲しい。
「これはおいしい」
レザーに鼻血を出させた張本人は、何事もなくご飯を食べている。
「うまいにゃ! おかわりにゃ!」
レザーの尻穴をスルーした本人はガツガツ食べてる。
「血が! 血がぁぁぁぁぁぁぁっ!」
そいつにトラウマクラスの経験をさせられたパンが、叫びとともに起きる。
「おはようにゃ!」
絶対ヤバい精神状態のパンが、普通に目覚めたかのように挨拶するストライプ。
「おはよう……ござます?」
不思議そうに周囲を見るパン。
そして、なにがあったかを思い出そうと、空を見て──。
「あ……あぁぁっ……あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
また正気を失った。
マジで何があったんだ。
「しょうがねえなぁ。ほら」
フリルがパンを胸に抱いてやる。
「ほら、もう怖くないからな? 大丈夫、みんないるから。怖くない、怖くない──」
フリルは優しく囁くようにそう言いながら、頭を撫でていた。
やだ、この子ほんとうに女子力高い。
そんな優しい光景を見ながら、レザーはパンに変わって欲しいとか思ってた、外道だから。
「もっとお代わりにゃ!」
そんなこと全く意に介さない、トラウマメーカー。
「しょうがないわね、ほら。あなたはどうする?」
「私はもう満腹」
誰も見てなかった。
「ぐずっ、もう、大丈夫です」
何とか立ち直ったパン。
「そうか……じゃあ、飯でも食え」
「はいっ! ありがとうございますっ」
そういうと、ててて、とワインの元に向かう。
「フリルさん、お疲れ様です」
「おう、レザーはちゃんと食べたのか?」
「いえ、フリルさんが頑張ってるのに一人だけ食べられません」
本当は、フリルの姿に見とれていて、パンが羨ましくなっただけだが、そんなことは言わない。
「……可愛いこといいやがってこの!」
腕で抱きしめられた。
ちょっと乱暴ないつもの調子だったので、さっきの優しい感じがいいと思ったけど、それを言う勇気はないし、これはこれでよかった、だったら言うな。
「よし、俺が食わせてやろう。おい、肉持ってきてくれ!」
ワインが持ってくる。
この子、お嬢様の癖によく気が付くし動く。
他に動けるのがパンくらいで、彼女は今は精神が病み上がりだから仕方がない。
「おら、食え」
フーフーしてもらって、肉を口に近づけてもらう、てめえ、ふざけんなよ。
「どうだ? うまいか?」
「はい、こんなの食べたことがないです!」
「そうか、そりゃよかった」
もちろん、フリル一人で作ったわけじゃないが、調理の部分はフリルが担当し、下ごしらえや切ったり開いたりをワインが担当したので、味の調整はフリルが行った。
「こんな料理が作れるお嫁さんが欲しい」
「ば……っ! まだ早えよ! そんなこと言うな!」
レザーは何発か殴られた。
それが照れ隠しとは分かっているけど、それでも痛かった。




