第22話 微妙な乙女(男)心
「さあ、誰か料理をするにゃ!」
「いや、その前に、パン、大丈夫か?」
ストライプがめっちゃ他力本願なことを言い出したが、フリルとしてはその背中で、もはや涙も枯れて尋常じゃない表情のパンを放っておけなかった。
「……獣が……大きな獣が……」
もうなんか、目が虚ろだった。
「お、おい……」
「にーーげーーてーーーー!」
何があったのか分からないが、とにかくとても怖い思いをしたことだけは分かる。
「どうしたにゃ?」
「パンがヤバい! とにかく下ろせ!」
下すまでもなく、フリルがパンを抱えて寝かす。
「大きな獣が……」
「うん、そうだな? 怖かったな? もう寝ろ?」
フリルは優しくパンの頭を撫でながら言う。
「誰か料理するにゃぁぁぁぁっ!」
「てめえ、ちょっと黙ってろ!」
さすがにフリルが怒鳴る。
「ふにゃ~」
「しょうがねえなあ、俺と……おい、ワインは料理作れるか?」
「そうね、一人旅には必須ね」
「じゃ、下ごしらえしといてくれ。血抜きはしてあるんだろ?」
「そうね、こっちはしてあるわ、ストライプの持っていた方はしてないけれど」
「じゃあその血抜きもやっといてくれ。俺はこいつを寝かしつけてから行く」
料理は一人暮らしのお姉さんと、一人旅のお姉さんがすることになった。
下ごしらえとかして、なんかとても時間がかかりそうだが、それはそれで待っていたいと思う。
「下ごしらえは出来たようだな?」
パンを寝かしつけたのか、フリルが戻って来る。
「ええ、何を作るつもりなのかしら?」
「ま、時間もねえし野菜もねえから、とりあえずローストだな」
何故街道の山賊がローストを知っているのか。
「ふにゃ、ワインなら持ってるにゃ。ワインのパンツと同じ色だにゃ~」
「……どうしてそんなものを?」
「ワインをからかうためだにゃ! あと、ノーに飲ませるとふらふらするから楽しいにゃ!」
「それは許された使い方ではない」
酒に酔った無表情なお姉さんがどうなるか見てみたいと思うレザーだが、どうせフリルに目かくしとかされるんだろうなあと諦めている。
それはそれとして、そのたびにフリルに抱きしめられるからそれはそれでいいと思っていた。
「こっちはちっと叩かねえとな。剣の背を使うか」
「矢じりで叩くと一番効率的よ?」
それぞれの武器で調理するお嬢様方はワイルドにも思えるが、丁寧な調理過程を踏んでいるようで、徐々にいい香りも漂ってくる。
「私が味見するにゃ!」
「必要ないわ」
「必要だにゃ! 味を見るにゃ!」
厄介さんが調理で忙しい二人に絡み始めた。
「ス、ストライプさん、二人は料理に集中しなきゃならないからさ……」
実はこれまでずっとストライプが怖くて黙っていた、レザーが初めてストライプに意見をした。
これはもちろんフリルやワインのことを考えてでもあるし、料理が台無しにならないためでもある。
でも、それ以上にストライプの得意とする尻穴に指攻撃に物凄く興味があった。
ストライプは自由奔放の厄介さんだが、見た目だけなら元気系美少女だ。
しかも尻尾と猫耳付きだ。
そんな子に尻穴に指を突っ込まれてみたいと考えるのもまた、青少年的な欲求と言えるかもしれないし、ただの変態かもしれない。
「うにゃ」
レザーは期待と不安でストライプを見返す。
「ほ、他の遊びとかしたらどうかな?」
「じゃ、そうするにゃ」
そう言って、ぼーっとそこに立っていたノーに飛び移る。
「暇だからノーで遊ぶにゃー!」
「あーーーーーーーーーっ!」
ノーは、レザーの代わりに雄たけびを上げた。
料理で忙しいフリルが目隠しをしなかったので、目の前の特等席で、じっくり見てしまった。




