第21話 おかずだけじゃない、という意味で
「腹が減りました」
フリルの背中で、レザーが言う。
体力のないレザーはすぐに疲れたのでレザーが背負うことになった。
ちなみに体力のない組で言えば、ノーは少しだけ浮いて飛ぶことでフリルから許可をもらい、パンはストライプに背負われている。
ノー&パンのコンビと言いたいが、このパンはパンツじゃない。
とにかく、レザーはフリルの柔らかい背中に背負われているといういい御身分の癖に、腹が減ったと言えば誰かが何とかしてくれると思っている。
そして何とかなる。
「しょうがねえなあ、ちょっと休んで干し肉があるからそれを──」
「ワイン、行くにゃ!」
「分かっているわ」
そう言って、ワインとストライプが、走って街道を逸れ、森の中に走っていく。
「ちょ、どこに行くんですか!?」
とりあえず、ストライプはパンを背負ったままだった。
「……どこに行ったんですかね?」
「さあな?」
食事の用意をしに行ったことが分かるが、もちろんこんな街道の脇に店なんてあるわけがない。
だから、どこに何をしに行ったのか、まったく分からない。
「ストライプは肉食獣並に狩りが出来る。エルフも森の種族だから狩りはうまい」
「狩りだってぇ?」
さすがにここから狩りに行くとなると、かなりの時間を要するだろうし、たとえレザーが空腹だとはいえ、そこまで時間を使うのはどうだろうと、何も言わずに勝手に狩りに行った二人に腹が立った。
フリルちゃんはリーダーのつもりだから、勝手な行動は許さないんだからね?
「しょうがねえなあ、ちょっと休憩するか」
レザーを下して、街道脇の石の上に座るフリル。
豪快な口調だけど、お嬢様座りするあたり可愛い。
あと、なんだかんだ、ちゃんと待ってあげるフリル可愛い。
「私はまだ空腹ではない」
「ま、この後いつ食えるか分からねえし、さっさと食っておけばいいだろ?」
「一理ある」
そもそも、狩りに行っていつ帰ってくるかもわからないので、帰ってくるころにはちょうど腹が減っているだろうな、とは思う。
どうせ急ぐ旅でもないし、ゆっくり行けばいい、そうフリルは思っていた。
実際にはレザーの魅力は徐々に上がってきていて、これには限界があり、上がり切る直前には殺されるので、本当はのんびりしている暇はないのだが。
「はあ、あいつらが帰って来るまでに、話でもしようか、なあ、ノーは──」
「帰ったにゃ!」
「……早ええな」
先出て行ったばかりのストライプは、何か獣を手に持って街道脇から走り出てきた。
「待ちなさい! あなたもこちらを持ちなさいよ……!」
その後ろから、なんか馬鹿でかい獣を背負ったワインが戻ってくる。
「それは重いにゃ! 持ちたくないにゃ!」
「あなたの方が力はあるでしょうが!」
「ふにゃ~」
狩りから速攻で帰ってきて、しかも女の子ばかりで食べきれないような量の食料を狩って来るケットシーハーフとエルフ。
彼女たちは使える。
使えるって、便利って意味だよ?
他にどの意味があるのか。
答えは、闇の中だ。




