第18話 美少女のしっととしっこは両方見たい
「そろそろ行くか……おい、どうした!?」
血まみれのレザーを見て、フリルが驚く。
「いえ、ちょっと……刺激物が……」
「刺激物? なんだそれ?」
フリルは気が付いていないが、ストライプがノーのスカートをめくったことで、目前にいたレザーは全て見えてしまっていた。
ノーは美少女であり、十六歳のレザーからすると、一つ年上の十七歳の、ちょっと無表情な女の子だ。
そんな女の子の女の子を見せられると、当たり前のように興奮してしまう。
「……けっ、このフニャチン野郎」
自分以外の女の子に欲情してるレザーにしっとするフリル。
ちなみに、しっこしたら大変だ。
大変だけど許す。
レザーは、ふにゃけてないです! 見たことあるんですか? って聞こうと思ったけど、見たことあったのでやめた。
でも、ふにゃけてないし、あのときは怖かったからたまたまふにゃけてただけで。
ふにゃけてたんじゃねえか。
「見ただけでそうなると先が思いやられる。今晩はめくるめく夜になるのに」
「ならねえよ!」
「してみせる」
「させねえ!」
フリルがレザーを庇うように抱きしめる。
レザーはフリルのこういうベタベタとくっついて来るところが好きだ。
フリルは、口調や言動は粗野を通り越してワイルドだが、見た目は令嬢風の女の子だし、女子力も高い。
こんな娘といいな、出来たらいいな。
と、ずっと思っているけど、チキンなので自分からは一ミリもアプローチ出来ずにいる。
「これは平行線」
「……いや、平行線ってわけじゃねえと思うが……」
「では水掛け論」
「まあ、間違ってはねえけど……」
だからどうした、としか言えない。
「私はレザーとセックスがしたい。何故それを止めるのか」
「いや、それは……」
フリルも、どうしてと言われると、何も言えない。
とにかく嫌なだけだ。
だけど、もちろんレザーは自分が初めに出会ったというだけで、別にフリルのものでもない。
だから、誰がレザーに近づこうと、構わないはずだ。
だけど、ただ、とにかく嫌なのだ。
「なあ、レザー!」
「はいっ!」
「てめえ、童貞だろ?」
「違います!」
「嘘をつくな!」
「ひっ! 童貞です!」
何故そんな薄っぺらい嘘をついたのか。
「なあ、お前の初めては俺にしろ」
「はい?」
「俺じゃ不満だってのか?」
「ひっ! 嬉しいです!」
「けどまあ、俺はさ、出会って数日で野郎に身体許すような軽い女じゃねえんだ」
「はあ」
「だからちょっと待ってろ。いいな? その前に俺以外の女とやるんじゃねえぞ?」
「は、はいっ!」
「よし、いい子だ!」
フリルはヘッドロックをしてレザーの頭を撫でてやった。
レザーは頭よりも当たってる胸の方に集中していた。
「ってことだ」
「意味が分からない」
「こいつと最初にやるのは俺って事だ。お前は俺が終わるのを待ってろ」
「何分かかるか」
「そんな短時間じゃねえ!」
レザーは心の中で、このフリルとやったら多分一分持たないと考えていた。
「三十分くらいかけてねっとりするつもりなら待つ」
「今日明日じゃねえんだよ! 一年──は、半年くらい待ってろ!」
謎の半年前倒しは、フリルの乙女心だってしておこうじゃないか。
だって、女の子はみんな心が綺麗って、信じていたいですから。




