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第11話 この空間にずっといたい。

「触手に凌辱されたというのは本当なのかしら?」

「陵辱されていない。彼はとても紳士的で優しかった」


 紳士的な触手ってどんなのだろう。

 スタイリッシュに服を溶かしてくれるのだろうか。


「……優しく触手と性交したのか?」

「セックスはしていない。一緒に寝た」

「してねえのかよ!? そんなもん男性遍歴に入れんなよ!」


「男性遍歴は寝た男の数のはず」

「……ちょっと違うが……ままいい、次は?」


「ない。私の相手は彼だけだった」

「結局一人もいない(処女)かよ!?」


 突っ込んだフリルさんも、お処女さんだが。


「だけど、その遍歴は興味があったと思う」

「いや……だから、経験ないんだろ?」

「これは凄い経験」


 まあ、ある意味触手に会って紳士的に振る舞われて処女のまま返されるって経験はなかなかないだろう。

 ちなみにレザーは会話に参加していないが、綺麗な女の子が処女だとかセックスだとか平然と言っているのでどきどきして静かに興奮していた。

 ちなみにさっきセックスしたいと言ってから、フリルに腕を抱かれていたので、その胸の感触にも興奮していた。

 お前何しにここに来たんだよ?


「とりあえず、私の初めての男性の名前が知りたい」

「あ、俺の名前は、本当はリークって言いますけど、今はレザーむぐぅ」


 答えようとしていたレザーは、腕を組まれたまま、フリルにもう一方の手で口をふさがれた。


「てめえ、何普通に答えてんだよ!?」

「だって、聞かれたら答えないと……」

「初めてをする気なのかよ!?」


「許されるなら……」

「俺が許さねえからな? いいか? 分かったな?」

「……分かり……」


「聞こえねえよ、もう一度はっきり言え!」

「わ、分かりました!」


 レザーは小さな声で曖昧に言って、後で言ってないと誤魔化そうとか姑息なことを思っていたが見抜かれた。

 どうしてフリルがレザーのセックスの許認権を持っているんだろう、とパンは考えていた。

 でも多分、レザーが本気でやりたいと言えば、立場が逆転するんだろうなあ、と考えて微笑ましく見ていた。


「それで、私がどうして呼ばれたのか分からない」

「ああ、それは──」

「こんなところにいたにゃ! いないから、部屋にあったお菓子を食べつくしたにゃ!」


 いきなり面談室のドアが開き、入ってきた小柄な女の子が、レザーたちの存在に構わず、マリュン師に言った。


「あれは、遊びに来たカーニャからもらった珍しいお菓子だったから賠償を要求する」

「賠償にゃ?」

「お菓子の分と、私の心の分を請求したい」


 入ってきた女の子は、いかにも自由そうな容貌で、何だか猫耳と尻尾がある。

 お洒落なのだろうか、そう言う種族なのだろうか。


「賠償なら、いくらでもくれてやるにゃぁぁぁっ!」


 猫耳の子は、マリュン師に襲いかかる。

 マリュン師を押し倒して四つん這いにさせ、スカートをまくって──。


「あーーーーーーーーーっ!」


 言っていることは、アレだったが、淑やかで穏やかだったマリュン師が、必死の甲高い声を上げる。

 猫耳の子は、マリュン師の尻穴に、指を数本入れたのだ。


 レザーは、その一部始終を見逃すまいと凝視していたが、途中からフリルに目隠しされた。


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