第105話 戦いが、始まる。
ついに、戻ってきた。
一度は訪れた、第一王女ライサナの居住地。
前に来たときは、さらわれたレザーを奪い返しに来たときだ。
今、彼女たちは、ライサナを新魔王とし、倒すためにやってきたのだ。
「奇襲か? 呼び出すか?」
「どちらでも構いません」
「よし……」
フリルは大きく息を吸う。
「おい、ライサナ! また来てやったぞ! お前を倒すためにな!」
怒鳴る、フリル。
しん、と、静まりかえったのは数秒。
「あら、自分の姉に対する礼儀がなっておりませんわね」
ゆらり、と、現れたのは、ライサナ。
「エリーズ、あなたはまさか、私を倒そうなどというより夢物語を信じているのような乙女だったかしら?」
「……違えよ」
そこにいるだけで、この圧倒的な強さがにじみ出る。
一歩歩く度に死を覚悟する。
ああ、これは天敵だ。
絶対に勝てない。
そんな感情が全員の頭を過ぎる。
「ケットシーはどこに行ったにゃ? 三人いたにゃ」
「こういえば最近見かけないわね。エサも与えてないけれど、どこに行ったのかしら?」
「…………!」
ストライプが、作戦行動を無視して、家の中に入って行く。
「ふにゃあ……」
しばらくして、瀕死のケットシー一人を連れて来た。
「生きてるにゃ! 死にそうだにゃ! 他の二人はどこにゃ!」
悲しみと、怒りの叫び。
いつも不真面目というか、楽しそうなストライプの、そんな声を初めて聴いた。
「お前はこいつらを養ってたんじゃにゃいのか! 何してんだにゃ!」
そして、その怒りは、ライサナに向かう。
「何もしていないわ。勝手なことをすると殺すと言っただけですわね」
「うにゃぁぁぁぁぁっ!」
「! ストライプ、やめろ!」
怒りに身を任せ、ライサナに飛びかかるストライプ。
だが、ライサナはそちらを見ることもなく──。
「ふにゃっ!」
左腕を右から左に振るだけで、ストライプを弾き飛ばした。
その速度は、あまりにも速く、空中でも自由に体勢オ整えられるストライプですら、それがかなわず──。
「んぎゃっ……」
そのまま、近くの大木に頭をぶつけた。
「ストライプさんっ!」
木から、ずるずる落ちるストライプ。
気を失っているのは分かる。
それだけならいい、だが──。
「フリル、前、ラ、ドット、右、ラ、ワイン、弓、左、ラ、リボン、高速、後、ラ!」
だが、それを心配しているのはレザーだけだった。
彼女たちは、ストライプ攻撃でライサナに出来た隙を攻撃にかかっている。
「ノー、防御、フリル、ブラック、攻撃、ワイン!」
途切れることのない指示。
唯一やることのないレザーは、ストライプの元に駆けつけた。
「だ、大丈夫ですか、ストライプさん……?」
ストライプを抱え上げるレザー。
「…………っ」
レザーは、力が人よりなくなる呪いがかかっているのだが、それでもストライプを持ち上げることが出来た。
こんなに小さくて軽い子が、あんなに強く自由奔放に暴れ回っていたのだろうか?
「……うにゃ?」
ゆっくりと目を覚ますストライプ。
そして、目の前のレザーを見つめる。
「……子作りにゃ?」
「違うよ?」
「そろそろするにゃ!」
ぎゅっと抱きつかれた。
ちなみに、止めるいつもの人は後ろで命を懸けて戦っていた。




