第104話 いよいよ、登る。
その日は結局遅いので、旧魔王城に戻って寝た。
色々あったが、その辺はもう省略する。
簡単に言うと、叫んだ人が多発した。
さて、翌日、馬車で魔王城へ向かった。
魔王城まではそんなにかからなかったが、中ではフリルがパンと作戦の最終確認を行っていた。
「着きましたね」
「そうだな」
山の上にそびえる新魔王城。
おそらく周囲の村も自分たちのそばに魔王がいるなんて思ってもいないだろう。
だからこそ、退治しなければならない。
誰よりも強い、あの化け物を。
絶対に敵わない。
あいつにだけは敵う気がしない。
そう思ったから、これまでは逃げることしか考えなかった。
だけど、こいつらがいる。
今は、こいつらがいるから、勝てる気がして来た。
「出戻り記念だにゃ!」
「あーーーーーーーーーっ!」
やっぱ無理な気がして来た。
「じゃあ、登りますか」
「ああ」
「あーーーーーーーーーっ!」
うるさい。
だが、おそらくストライプも気が逸っているのだろう。
興奮状態の臨戦態勢と考えれば問題ない。
「よし、気分が乗ったから今から子作りするにゃ! レザーは来るにゃ!」
「え? え? あ、はい」
「やめろ! レザーも行くな!」
なかなか集中も出来ないフリル。
が、彼女が怒鳴ってくれるおかげで、他の子たちは集中出来ている。
ドット以外。
ドットは物凄く寂し気にストライプの周りをうろうろしている。
いつもの事だと、「邪魔だにゃ!」「あーーーーーーーーーっ♪」になるのだが、なってくれない。
正直ストライプはいつもドットがそばをうろついているので、慣れて不快に思わなくなってしまった。
これはドットも悲しい。
だが、ドットの方も、いつものフィンガーだけでは物足りなくなって来ているのは事実。
出来ればツーフィンガーくらいが当たり前になって、いざという時にはスリーフィンガー、いや、手首くらい行って欲しい。
けど、そんなことを口には出せない魔族心。
口に出して言ってしまえば魔法は解けてしまうのだ。
彼女は理不尽な暴力に泣かされる自分の惨めさが一番ゾクゾクするタイプなのだ。
だから、彼女のすることは、一つ。
「登頂記念の前祝だにゃ!」
「やめてくださいっ!」
ノーへの攻撃を、阻止して、その怒りを自分にぶつけさせることだ。
「あーーーーーーーーーっ!」
が、ストライプはそれを意に介さず、ノーを叫ばせる。
「お前もだにゃ! しかも私を妨害しようとしたからひどいやつをするにゃ!」
「あーーーーーーーーーっ♪」
ツーフィンガーでスピン付きだったという。
よかったね。




