第102話 裏の事。
フリルが作戦を覚えるのに、物凄くきつそうになっていた頃。
「私、さっきの戦いで一度も勝ってないにゃ! もっと勝負するにゃ!」
彼女をつなぐ鎖の一方がいなくなったので、若干イキってるストライプ。
「やめなさい、もう勝負は終わったわ」
残された方の鎖が注意する。
「でも、私だけ一回しか戦ってないにゃ! 不公平だにゃ!」
「最後に出てきたのだから、勝っても負けても一回しか戦わないでしょう」
「そんな事ないにゃ! ワインが負けなきゃ良かったんだにゃ! ワインが弱いからこうなったにゃ!」
「……何ですって?」
ほら、一人だと煽り耐性弱くなるし。
フリルだったら、だいたい「うるせえ!」で終わるから。
「私は確かに敗れたわ? でも、その前は勝ってるのよ?」
「ノーに負けるなんて、最弱レベルにゃ! ノーなんて、指一本で勝てるにゃ!」
「私は強いので、そう簡単にはあーーーーーーーーーっ!」
敗れた。
「でも、人には相性があるわ。たまたまあなたがノーに強かっただけよ」
「ワインに相性のいい奴なんているのかにゃ~?」
「いるわ」
睨むワイン。
ストライプは若干面倒になっていた。
ワインと戦うとなると、結構全力を尽くさなければならない。
しかも、怪我しそうだ。
もっとこう、保有する玩具以外の、弱っちい奴で遊びたかったのだ。
具体的に言えば、パンかブラックだが。
パンが無理なのは分かっているので、ブラックを狙っていた。
そこにうまく持って行こうとしたのだが、ワインと妙な流れになってしまい、どうしようかと思ってる。
別に本気で戦うのは嫌いじゃないし、ワインと戦うのも楽しそうだ。
が、それは今じゃない。
今戦っても、フリルに止められそうだし、なんか怒られそうだ。
なんか、この混乱に乗じて、いつもと違うおもちゃで遊びたいだけの時に、ガチで戦う気にならないわけだ。
まあ、簡単に言えば、今日はオナニーで済ませようとしてるのに、彼女がめっちゃ準備して待ってる感じ? 知らねえよ。
まあ、とにかく、目の前の怒ってるワインをいなしつつ、ブラックに攻撃したい。
賢いわけでもないストライプがそんな事出来るわけがない。
だが、ストライプにはとっておきの切り札があった。
それは、この困難をあっさり片づけるやり方だ。
「ごめんにゃ、言い過ぎたにゃ」
「え? あ、いいわ、別に。私もあなたへの配慮がなかったし」
ストライプのような暴れん坊がいきなり謝ると、相手は驚いて自分も引いてしまう。
そこに隙が出来るのだ。
「ワインは二回も戦ったにゃ。一人勝ち抜いたから凄いにゃ」
「べ、別にそうでもないわ……」
「私は一人目で負けたにゃ、弱いにゃ……」
「そんなことはないわ、あなたは強い。ただ、フリルが──」
「もう一人、一人目で負けた奴がいるにゃ! 最弱決定戦をするにゃ!」
「あーーーーーーーーーっ!」
なんか、さっきからこっち来るな、来そうだな、と思ってたけど、何も出来なかったブラックだった。




