K.r.g ショート
バチバチと私は今日も叩かれる。
『あまり乱暴にしないで』
「...」
問いかけても無言で叩かれる、ストレスからか局部に禿げが見え始める。
私の地獄が始まったのは、この家に来てからだった。
思えば優しくしてもらった経験はない、彼はいつも無言であった。
『私はそれでも貴方の事が好きなのに。』
精一杯伝えようと思った、しかし彼は大きな耳栓をつけ、無表情のまま彼女を叩き付ける。
...どれくらい時間が経っただろうか。
彼はWASD大学に通う人物であり、常日頃よりWASDのキーを多用していた。
これに彼女は安堵する、彼が私を捨てると決心したのは、WASDキーの反応が薄くなったから。
安堵したのにも別の理由があった、最後に彼に思いを伝える為にRGキーが無事であった事も。
キーボードにも愛着を。