料理
学校の休日、エルフの住んでる公園に、李三がやって来た。
「やあ、エルフちゃん。」
「……何?
大美野さん、今度は何のよう?」
「うん、今日は君を食事に誘いに来たんだ。
君、親が居ないんだよね?
それじゃ普段食べる物に困るんじゃないかな?
現に君はホームレスとして公園に住んでいるじゃないか。」
「う……。」
するとエルフのお腹の音が鳴った。
それは人間の肉を求めている音ではなく、人間の食事を求める音だ。
「やっぱり、お腹空いてるね。
ほら、ついておいで。」
結局エルフはホイホイついていってしまった。
店に入ると何故か李三は居なくなっていた。
そしてエルフが居るのは真っ暗な空間、彼女は困惑していた。
「あれ?
暗い……。
ここどこ?」
するとエルフにスポットライトが当てられた。
「えっ!?」
彼女の周りには沢山の人々が席に座っていた、まるで闘技場に立たされたような、そんな感覚がエルフの脳裏によぎる。
そんな中、もっとも高い場所に、李三は現れた。
「お待たせいたしました、紳士淑女の皆さま方。
本来クリーチャー同士の共食いは味を保証出来ない物です。
しかし!
今回この晩餐会の食材は幼くして高い戦闘能力を持ち合わせるクリーチャー、そんな彼女、その血の匂いは甘く芳醇な香りを漂わせる、その香りはそう!
一つのスイーツのような香りなのです。」
李三はエルフの血のついたハンカチを落とした。
ハンカチは客人達の取り合いとなり、彼等は興奮していた。
「おお!
なんと食欲をそそる匂いなのだ!」
「たまらないわぁ♪」
「すぐに食わせてくれ!!」
エルフは驚愕していた、彼女は嵌められた事に気付いてしまったから。
「その香りを漂わせるその肉がどのような味になるのか……。
さあ!
最高の美食を楽しみましょう!」
エルフの目の前に大男が出現した。
「!!」
「その男は料理人だよ。
彼が僕達に良いように、君を料理するだろうね。
生きたければ、この男を倒すんだよ?」
言わずもがな料理人も怪物の一人だ。
「うまそうな食材だぁあ…。」
彼はすぐに人為変態を行った。
その姿は両腕に鋏がつき、体の所々に黒い装甲のような物が現れ、蠍を思わせる尻尾が生えていた。
まるで蠍を思わせる姿になった。
「さあ、生きたいのなら、彼を倒してみなさい!」
李三は高らかに叫ぶ。
そして料理人は、鋏でエルフを切断しにかかった。
「ひっ……。」
彼女の体は反射的に動いていた、彼女は攻撃を次々避けていた。
「なんということでしょう!
本日の食材の見事な動き!
まるでライオンから逃げるシマウマのごとき素早さ、そしてそれを人為変態せずに行える彼女の才能!
ますます皆さま方の食欲をそそるでしょう!」
「うるさい!」
エルフが叫んだ。
彼女は料理人からの攻撃をかわしながら、壁を蹴って突っ込む。
「そう来るなら私のスパイスで料理してくれる!!」
そう言うと料理人は蠍の尻尾のような物で、エルフを突き刺しにかかる。
飛んでいたエルフは左右に移動する手段はなかったが、彼女はその尻尾にとびひざげり(威力百三十)をお見舞いした。
「ウゲェエエエ!?」
料理人の尻尾の針が砕けて、根本まで損傷した。
ん?
この光景どこかで見たような…