食欲
タイラントが町に出現した速報が流れた。
「逃……げて……お"……願……い"……
学校のみ……んな……を……殺さ……せないで……」
エルフは必死に戦っていた、自分の中の食欲と、人間を食いたいという理性と必死に。
その戦いの中で、彼女は無意識に辺り一面で怪獣のように暴れまわり、辺りの建物を破壊していく。
一方で、向小学校の生徒の殆どが、学校の地下へと非難していた、しかし、逃げ遅れた人間が居た。
「はい、点呼とるぞ!」
「先生!大上さんと由香ちゃんがいない!!」
「何ィイイイイ!!
私の生徒が逃げ遅れたら私の首が危ないってのにあのガキどもは何をやってるんだ!!」
「え?先生?」
「ああ、すまない、取り乱した。」
シェルターの内部は銀で出来ており、怪物は入れない。
だからと言って人類は安心出来ない、怪物という存在がある限りずっと。
そんな怪物を倒す為に一人の匠が立ち上がった。
その匠とは怪物から人類を守る為に存在する職業である。
彼等は銀の武器を自在に扱い、怪物を狩る、彼等の事を人々は賞金稼ぎと書いてハンターと呼ぶ、またの名を怪物退治の匠と呼ぶ。
そんな匠の一人が、この緊急事態の町に駆け付けた。
「ったく……
大物が町に現れたからな、すぐに駆けつけなければな。
タイラント……覚悟しとけや。」
この男の名前は灯 灯 彼はタイラントを狙っていた。
「(レートは千万だからな、タイラントは……
狩れば相当な金額ががっぽり俺の手に入る。)」
彼は銀で出来た刀を二本持っていた、つまり、二刀流だ。
そして、彼は現場に駆け付けた。
「よぉタイラント……
お前に恨みはねぇが、人類にとっての弊害になるんだ。
消えてもらうぜ?」
「近……付かないで」
「何言ってるんだ?」
「私に……近……付か……ないで」
エルフの何処か苦しそうだ。
自分の理性が、今崩れかかっているのだ。
しかし、灯はエルフの忠告を一切聞き入れなかった。
そう、灯はエルフに突っ込んでいったのだ、それがどれ程愚かな事かを知らずに……
「喰らえ!」
彼は二刀流を自在に扱い、連続で攻撃を与えようとするが……
「ナンデダロウ……スッゴク…………オナカスイタヨォ!!」
全ての攻撃を軽々しくよけて、その拳で、灯の顔面を殴った、それを、何度も何度も殴り付けた。
「あ……あがが……」
「イタダキマス……。」
エルフは灯の頭からかじりつき、頭を食いちぎった。
灯の頭からは脳汁が大量に出てきて、そして、血も大量に噴出した。
即死であり、灯に生命反応はもう無かった。
エルフは食欲の赴くままに、灯の死体を食っていた。
「美味しい……心が安らぐ……安心する……」
食事中にはもう彼女の姿は勝手に元に戻っていた。
食欲が収まったのだろう、しかしエルフにはとんでもない不幸が待ち構えて居た。
「え……エルフちゃん?」
一人の逃げ遅れてはぐれた少女……
由香が偶然現場を見てしまったのだ。
「……最悪。(私の秘密、知られたくない人に知られてしまった……)」
見られてしまった彼女の運命やいかに。