狼女
その満月の夜から約三週間たった。
とある公園に一人の少女が住んでおり寝ていた、彼女の名前は大上 餌流二、綺麗な桃色の髪の毛に赤いりぼんが特徴の小学三年生だ、彼女は一年前に両親を失って、家も失ってしまった天涯孤独の身だ。
しかし、彼女は寂しくなかった、何故なら……
「エルフちゃん、起きて、学校行こう?」
彼女の友達が起こしに来てくれるからだ。
エルフを起こしに来た少女の名前は堺 由香という、エルフにとって同い年の少ない親友だ。
「ん?ああ、うん行こ……」
エルフの寝起きは妙に悪い、彼女はねむそうだ。
「全くエルフちゃん、どうしていつも私が起こさないと起きないの?」
「そうかな……?
いっつもこんな感じだと思うけど……。」
「そのいつもが駄目なの!
今日からでも良いから目覚ましセットしなきゃって何回言わせれば気がすむの?」
「ごめん……。」
「まあいっか、はい、エルフちゃんの朝御飯!」
由香はどこからともなく、おにぎりを出してきた。
「ありがと……。」
彼女はゆっくりとそれを受け取り、むしゃむしゃと頬張り、飲み込んだ。
「塩が強い。」
「あっごめんねっ」
エルフのストレートな感想に謝る由香だった。
二人は東京の小学校に通っている、その学校の名前は向小学校(ムカイショウガッコウ※実在してたらすみませんでした。)という場所だ、付近には東京駅がある。
ただし、彼女ら二人は徒歩だ。
彼女達はここの学校で今日も授業を受けていた。
そして、平穏な時間が流れて、お昼の時刻が訪れた。
エルフは一人、女子トイレにこもって、苦しんでいた。
「(うぅ……頭が痛い……まさかこんな時に……嫌だ……嫌だ……
こんなところで……助けて……)」
彼女に異変が起きていた、彼女の顔以外のほぼ全身の毛が、狼のような毛皮に変わり、頭から狼の耳が現れた。
「肉……」
エルフは人に言えない秘密があった。
それは……
自分の正体が、人の姿をした化け物で有ることを。
エルフの正体、それはタイラントという識別名を人間から与えられた危険な怪物なのだ。
彼女はトイレの壁を殴り、ぶち壊して校庭へと飛び出した。
そのまま彼女は凄まじい身体能力で、学校の門から飛び出していった。
その後学校に緊急放送が流れた。
「緊急放送!緊急放送!
タイラント出現!タイラント出現!
全校生徒の皆様は直ちに非難してください!」
その後、全く同じ放送が町中に流れた。