序幕
世の中には二種類の生物が居る。
喰う生物と喰われる生物だ、生物の食物連鎖の頂点の一つに我々人間が居るのはご存知の通りだと思う。
これは大昔の話しだ、とある人間が大量に人間を捕らえて、最悪の環境下に置かせて生活させる実験を行った。
その結果…………
人間という生物が進化して新しい生物が生まれてしまった。
その生物の特徴は……
一つ、強靭な肉体故同じ種族の攻撃、または銀製品での攻撃以外ではなぜか決して傷つかない……
一つ、決して他の生物にかかる病にかからず……
一つ、寿命が非常に短く、生きるには人間を食わねばならず……
一つ、凄まじい生命力で、あらゆる怪我すらも治してしまう……
一つ、人の姿で人ではない……
そんな彼等の事を、人々はこう呼ぶ…………
怪物……またはクリーチャーと……
それが生まれてから、数千年は過ぎていると思われるある日の事だった……
とある満月の夜……
破壊された町のあと……
一人の人間の死体の上に、小柄な怪物が立っていた……
その外見は狼の毛皮のような髪の毛で包まれており、両手は狼そのもの……まるで狼と人を足したような雰囲気の怪物だった……
その怪物は、その死体を食していた……
その死体は銀で出来た剣を持っていた……
恐らく、その怪物を殺そうとした結果返り討ちに遭ったのだろうか……
死体はあっという間に狼のような怪物に喰われ……
天に向かってソイツは叫ぶ……
「ウオオオオオオオオオオン!!」
まるでそれは、遠吠えのようだった……
その叫びには何処か哀しみを込めていた……
その遠吠えを上げた怪物を人々はこう呼ぶ……
識別名……タイラント……と……