いろいろなことが前途多難だと再確認した話
fron ;宮本由貴
title;おめでとう!!
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ようこそ!星条学園高等部へ!!っていってもまだ早いか(・・。)ゞ
今日、授業の帰りに奨学金の面接を受けた他の星条生たちと高等部の掲示板を確認しに行ってきたよ!ほら、俺の言ったとおりだろ?町本さんの受験番号31番、ちゃんとあったの確認してきました!そして俺は予想どうり落ちてました!!笑
町本さんはもう確認した?って、してるよねww張り出しの時間は朝だもんね!
とにかく合格おめでとう!四月から一緒に高校通えるのをとても楽しみにしています!
to ;宮本由貴
title;ありがとう!
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母と一緒に、朝、学校を公欠にしてもらって見に行きました。ありがとう。私も、宮本くんと同じ学校に通えるの嬉しく思います!
ほんとはね、一番に宮本くんに報告したかったんです。でも、その、32番の番号がなかったから…、私ばかりが浮かれてるのってとても迷惑だし、怒られてしまうかなって。
でもずっとずっと言いたくって、朝からずっと携帯握ってたんです。宮本くんのほうから連絡してくいただいて、助かりました。
って、これも失礼ですよね…。ほんとごめんなさい。でも、私、すごくうれしくって。宮本くんみたいな素敵な人に出会えて、その人と同じ学校にこれから三年間通えると思うとほんとこれから待ちきれなくって。一人ではしゃいでごめんなさい。気分を害したら、返信は結構です。この話はこれで終わりってことで。
明日からまたいつものように星条の話、また聞きたいな!
from ;宮本由貴
title;Re:ありがとう!
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全然!全く!失礼なんかじゃないよ!
俺があの面接受けたのはもう半分ノリみたいなもんだし!担任が、行けるときに行けっていうからさ、学校も授業休めるし、ただだし受けとくかー、みたいな!!
むしろ、俺みたいな適当なやつが本気で星条入りたい人たちの中に混ざるって方が失礼だと思うんだ…、って町本さんの真面目さを感じて反省!
よし!じゃあ、この話はここで終わりにしよう!最後にもう一度、星条学園高等部合格おめでとう!友達第一号としてとてもうれしく思います!
じゃあねえ、今日は星条高等部の入学式の話をしよう!長くなるから一回メール切るねー!
「あらあら、百合ちゃん。またフラれたのねえ」
「おかあさああんん!!!!宮本くんが!天然小悪魔すぎて!私、もう!無理!!」
リビングで夕飯の支度をする母に泣きついて、メールを見せると、いつも通りのおっとりした笑顔と口調で「百合ちゃんの素敵に人発言は完全にスルーされてるわねえ」と私にとどめを刺してきた。
宮本くんとはあれから毎日メールする仲になったが私の思いは一向に届かない。ちょっと勇気を出した彼への発言はすべてスルーされるし、文末に「友達として」と付け加えられるたびに、泣きたい気持ちになる。
いっそのこと、告白してしまおうか、と、「好きです」という文面をつくるたびには、小一時間県外になったり、携帯を落として文面がクリアになっていたりと、どう考えてもあらゆる作用が私と宮本くんとの仲を深めようとしない方向に働いているとしか思えない。
第三者に話してみる、というのはどうだろうと、身近にいた母に彼のことを話してみると、大爆笑されて、がんばりなさい!と親指を立てられた。この人絶対楽しんでる。
当てにならない母親はとりあえずおいといて、私は、自室へと戻った。
机の引き出しに入れてあるほとんど白紙の小さな手帳をとりだして、かろうじて書き込みのある初めの二三ページをめくる。
そこに私が書いた、『初ラブ!』という文字と、棒人間が5人、いや、5本。
そう、これは、私が思い出した前世からのこの世界の情報である。…そう、これだけである。皆まで言わないでくれ、自分が一番情けないことは承知の上で、この手帳と毎日睨めっこを繰り返しているのだから。
受験の日にひどくパニックになって前世を思い出したという割には、ひどく心もとない記憶だな!と突っ込みを入れたそこのあなた。だって仕方ないじゃない!これは妹の領分ですもの!内容?そんなの知らないですよ!何度も何度も布教はされたさ!でも聞いてなかったよ。だって興味ないもん。
「美奈子と山本くんの恋の行方なら最初から全部覚えているのになあ…、あ、二条だったか、ヒーローは」
シャーペンを転がしながら、私はため息をつく。
とりあえず、攻略キャラは5人、それは確かだったはずだ…、たぶん。
メインヒーローは、私の嫌いなタイプ。うん、それも確か。
「あとは…、イケメンに要注意かなあ…」
自分でも笑えてしまうほどアバウトな攻略方法に、ほとほとあきれてしまう。でも行き当たりばったりしか、私にはできないことわかった以上、この方法しか、取れないのだ。
ああもう。
今から、4月が楽しみなのと、恐ろしいので、私、吐きそうです。