wktkしてない全裸待機
活気に満ちた市場、人々の顔は明るい。
転んだ子供、助け起こす大人。周囲の誰もが転んだ子供を気遣い、「ありがとう」とその後の無邪気な笑顔に笑みを深くする。
その子の頭を撫でる露店の主は、その隙に商品をかっさらわれる心配などしていないらしい。
どこの理想郷だ。
状況を整理しよう。
異国風の市場。見慣れない服。色とりどりの髪。猫耳、犬耳、兎耳。尻尾に翼。
どこの異世界だ。
何故、俺はここにいる。
夢なら良い。普通の夢なら、誰にも迷惑はかからない。
しかし、頭がおかしくなっているのなら問題だ。
体は、どこにある。一人暮らしのマンションか。意識のないまま何かをやらかして病院に収容されて拘束具にでも包まれているならまだ良いが、現在進行形で街中を徘徊していたりするのなら怖い。
ジリジリと、右手を動かしてみる。
土と、見覚えのない雑草の感触はリアル過ぎる。寝ていた布団のやわらかさなどどこにもない。
ついでにちぎった雑草の青臭さ。
すべてを奪われた気がして、泣きたくなった。
お手上げだ。
ここは、どこだ。
左手に握る、日本刀はなんだ。
何故、俺は全裸なんだ!