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戒厳令
そうこうしているうちに、弁護士が急に立ち上がろうとした。
だが、それよりも速く、誰かが廷内へと入ってくる。
その手には、手紙が握られていた。
裁判所うがそれを確認し、戒厳令が宣言されたことを告げた。
「軍法裁判所へ送致となる」
弁護士が鈴谷に静かに告げた。
「だが、大丈夫だ。軍法裁判所に行ったとして、変わる事柄と言えば、裁判員がいなくなるということと、軍人が裁くと言うことだけだ。それ以外は、根拠法令も変わりはしない。だから、安心したらいい」
「あなたが言うのであれば、そうなのでしょうね」
裁判員が全員退席したのを見計らって、鈴谷は廷吏に留置所へと連れて行かれた。