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開廷
公判当日、弁護人たちは被告人である鈴谷磐井と共に、被告人席あたりにいた。
「大丈夫、心配しなくても大丈夫」
鈴谷に主任弁護士の多佐が、肩をたたきながら、リラックスするように語り続ける。
手錠と腰輪を解かれ、スーツ姿の鈴谷は、主任弁護士からの言葉に緊張がほぐれたようで、ゆっくりとうなづきながら、席へと座る。
検察側の一人と目があった鈴谷はすぐに視線をそらす。
「どうかしたか」
すぐに多佐が声をかける。
鈴谷は、首を左右に振る。
その時、廷吏が、起立をするように声をかけた。