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判決
さて、それからの裁判は、基本的に地裁と変わりはしなかった。
そして、判決までたどり着いた。
「被告人は、前へ」
裁判長に促されるまま、鈴谷が一人で立ち上がり、裁判官たちと対面するように置かれている証言席に歩いていく。
「主文、被告人を有罪とする」
それが言い渡されると、鈴谷はわずかににらんだように見えた。
理由はこうだ。
財務大臣の職にあった当時、秘密に触れることになり、それを父親の代からの続けていたこと。
それを継続していたこと。
そして、それを用いて、父親の代からの野望である、日本皇国の皇位簒奪をもくろんでいたこと。
また、他国軍へ情報を流すことによって、皇国に対して戦争を仕掛けたこと。
これらをもって、有罪としたようだ。
そして、判決は極刑だ。
鈴谷は即日控訴。
高等裁判所へ話は進んでいくのだが、それはまた別の話。