ただソラが見たかった
晴れた空のように青い髪、人形のような顔や小さな体、彼女は世界に愛されていた。
しかし、愛されすぎていたのだった。
幸運、それは彼女の顔立ちよりも異質だった。生まれた時から様々な人に彼女は幸運を与えていた。
だからだろう、彼女は物心つく頃から真っ白な部屋に閉じ込められていた。
利益のためなのか、保護するためなのかわからないが、私は、ずっと可哀想だと思っていた。
ある日、私は、彼女の見張りの係になった。
見張りの仕事は簡単だった。朝、昼、晩と料理を届け、ただ勉強や運動、食事をしている彼女を見ているだけだった。
だが、私は彼女と話したくなってしまった。
規則上、彼女と話すのは、禁止されているのだが、そんなことで彼女の美貌から逃れるなど無理だった。
でも、彼女は、名前がなかった。誰も彼女のことを話すことなどないからだ。
だから、私は、その髪色からソラと呼ぶことにし、料理を届けるときソラにも聞こえているか分からないような小さな声で一方的に話し続けた。
いつか、一緒に話せるときが来るの待ちながら。
それを続けて、数年後、彼女はその幸運について検査することになり、やっと彼女は部屋の外へ出ることができた。
その頃には、イチ(1)という呼ばれ方をされていたが、私はソラと呼び続けた。
そこから、また数年後、突然、一つの連絡が来た。
要約すると、ソラの見張りをクビにするということだった。
まさか、ソラに話しかけていたことがバレたんじゃ。
そう思い上司に話を聞きに行ったが、クビの理由は、ソラの脱走らしい。
検査をする部屋への移動の際に外へと逃げ出そうとしたため、部屋を違うところへ移動させるから違う人に任せるらしい。
だが、私はソラに会いたかった。
一緒にちゃんと話したかった。
だが、そんな日はもう来ない。
================
私は、ソラを見たかった。
いつも料理を持ってくるヒトがいつも「‥は‥‥‥
ソラ‥‥‥‥ね」と本当に小さな声で言ってくる。
ソラというのは外の世界の上にあるものらしい。
あのヒトがいつも気にしているソラを私は見たかった。
ある日のことだった。私は、二人の監視員と検査室までの道を通っていた。
ふと、横を見ると、奥の扉が開いていた。そして、そこには、ここの明かりとは全く違うような明かりがあった。
その時、直感的にわかったあそこが外なのだと。
私は、今まで言われてきた、ルールを全て投げ捨て、あの扉まで走った。
二人の監視員が戸惑いながらも追いかけてくる。だが、追いつかれる前に外へ出られた。
そして、その上を見る。
そこには、青く青く青く青く青く青くどこまでも広がるような空があった。
でも、それが私の見た最初で最後の外の景色だった。




