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謎ギレ

昼食を摂り終えた二人は、トリカブトで荷物の準備をしていた。

仁の言った通り、昨日に比べ荷物は少なかった為、麻袋へ入れて急いで出発した。

道中、仁は昼食の際に魔弾が口にした“いい考え”が気になっていた。

何とか聞き出そうと粘ってはみたが、魔弾は頑なに教えてくれなかった。

牧場に差し掛かると、魔弾はヤギのディーを探しているのか、歩くペースが遅くなった。

仁は立ち止まり牧場の柵へ寄りかかった。

「ディーってここにいる?」

すると魔弾は大きな声で叫んだ。

「ディー!!こっちおいでー!!」

しばらくすると、一頭のヤギが柵の手前まで近づいてきた。

「このヤギがディー??」

仁は柵から手を入れ、ヤギを触ろうとしていた。

「そうだよ!可愛いでしょ?!このどこ見てるのか分からない目もいいでしょ?!」

ヤギの目は人間の瞳孔とは違い四角い為、魔弾も最初は不気味だなんて思っていたが、何度も見るうちに段々と愛着が湧くようになっていった。

「不思議な目だね。んー?触らせてくれるの?いい子だねー。」

「?!?!?!?!?!」

ーー嘘だろ?!俺には触らせてくれないのに?!何で?!

仁がディーに触れようとした瞬間、魔弾も触れたくて柵から手を出した。

しかし、魔弾の手に驚いたディーは柵から離れて行ってしまった。

「あはは、逃げちゃった。可愛いなぁ。」

そう言って仁は微笑んだ。

「今日は機嫌がいいのかもね…」

魔弾は湧き上がる嫉妬心を、仁に悟られまいと必死に押さえ込み歩き始めた。

「ダンはペット飼ってた?俺は、実家住みなんだけど犬飼っててさ。会いたいなーって。」

「俺はアパートだからペット飼えなくて、でも実家は猫と犬いるよ。」

「猫もいるんだ?!いいなぁ、両方とも可愛いよねー!」

「可愛いとは思うけど、俺が自分で飼うなら爬虫類とか飼いたいかなー。」

「俺はヘビいいなって思ったけど餌調べたら、無理!ってなった。」

「餌と言ったら、鷹!昔どうしても飼いたくて調べたんだけど、餌で断念した!」

「鷹かっけえええええ!あの鋭い爪の魅力は半端ない!」

「分かるうううう!!嘴も素敵!!腕に乗っけてドヤしたい!!」

若干不機嫌だった魔弾も、話が盛り上がるにつれて機嫌が直っていった。

猛禽類の魅力について熱く語っていると、いつの間にか見張り小屋の近くまで来ていた。

二人の盛り上がった会話に気づいたのか、見張り小屋からサキが出てきた。

仁はサキに気づくと、手を振り駆け寄って行った。

「サキ、怪我大丈夫?」

仁は心配そうに、サキに尋ねた。

「怪我?今日はしていないけど。」

サキは少し不機嫌に答えた。

仁の頭に疑問符が浮かぶ。そして横で会話を聞いていた魔弾もそれは同様だった。

予想外の反応に困った仁は、続ける会話が思いつかないのか、動揺しているようだ。

魔弾は先程のサキの反応を聞かなかった事にし、自分の会話を始めた。

「サキさん、実はお願いしたい事があるんだけど、時間あります?」

「夜までここで待機だから大丈夫」

「ちょっと待ってて下さい。」

そう言って魔弾は、小屋の中から金属と色々な道具を持って出てきた。

「サキさん、この金属燃やせますか?溶かせるなら最高なんですけど。」

「これは何?燃やしてどうするの?」

サキは魔弾の考えが読めず、少し苛ついているように見えた。

「これを半分くらいの長さにしたいんですけど、加工できる鍛冶職人がレテにいないそうなんですよ。だから溶かせさえすれば、後は何とかなるかなって思ったんですよね。」

魔弾の返答は、サキを余計イラつかせたのかさらに口調が冷たくなった。

「だから、溶かした後はどうするのか聞いている。」

「溶かす事ができれば、多分だけど加工ができるんです。そうすれば罠用に檻を作ったり、より強力な武器を作れるんですよ。まずは半分の長さにして、槍のようなものを作りたいんです。」

魔弾はサキの態度に少し不満を感じたが、協力を得るために顔には出さず堪えた。

すると、横で話を聞いていた仁も魔弾に続く。

「サキ、この金属がここで加工できれば化け物をもっと安全に狩れるんだよ。」

「馬鹿にしているのか?駆除人は化け物など恐れない、私達は今のままでも構わない。」

仁の説得にも応じず、突然怒り出したサキの態度に魔弾は呆れて口を滑らせた。

「いや別に、あんたら駆除人の為って訳じゃないのよ。確かにあんたらにとっては余計なお世話かもしれないけど、これって結局は街を守るために言ってる訳なのよ。別に強い武器って言っても、あんたらは自分達で好きな武器使えばいい訳だしさ。」

どこから会話がすれ違ったのか、横で聞いていた仁でさえよく分からなかったが、確実に三人の溝は深まってしまった。

そもそもなぜサキはこんなにも怒り、非協力的な態度なのだろうかと仁は不思議に思っていた。

一方魔弾は、この埒が明かない会話に見切りをつけて帰ろうとしていた。

その時、街の方角から男が歩いて来た。

「ジン、ダン、来てたのか。なんだ?化け物が出たのか?」

三人の険しい表情を見て、ザロが訊いてきた。

「ザロ、ゴウのところに早く届けろ。」

サキの怒りは、ザロにも向けられた。

「何怒ってんだよ。お前が届ければいいだろ。」

ーーザロつえぇ!!頑張ってくれ!!

魔弾は心の中で、大声でザロを応援した。

次の瞬間、サキはザロの足へ蹴りを入れた。

ーーちょっ、今の絶対いいとこ入ったよね?絶対痛いやつだよね?

ザロはしばらく蹲り痛そうに足をさすりながら、面倒臭そうに麻袋を担ぎ上げた。

ザロに対して即蹴りを繰り出したサキを見て、魔弾と仁はこれ以上の説得は危険と判断し街へ戻ろうと目で合図を交わした。

魔弾と仁が街へ戻ろうとサキに背を向けた時、何者かが柵を殴りつけるような音がした。

魔弾と仁は大きな音に驚き、すぐに振り返り目を見張る。

ーーマジかよ…

柵に体当たりをする四匹の狼、いずれも額に眼球がある立派な化け物だ。

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