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最終話「ふたり」

「ユガミさん……」

「ど、どうしたの……?」

「偽れない私を、クラスの方々は受け入れてくれるでしょうか……?」


 数週間後。

 長かった謹慎がようやく明けて、私達はいつもの朝の時間に通学路を歩いていました。

 私は返します。


「さ、さあ……。そもそも存在自体が受け入れられるかどうか……かな……?」


 謹慎中は他の生徒と登下校の時間や場所をズラしていたので、一切関わることがありませんでした。

 その間に全校集会で私達の無実について一から説明が行われたり、先生個人個人が当事者を不必要に責めたりしないように努力をしてくれていたそうですが、その結果どうなっているかはまだ分かりません。

 私がそのことについて言うと、


「まあ、私にはもうユガミさんがいますから、受け入れられなかったとしても平気ですけどね……」


 さも当然のように、サヌちゃんは呟きます。

 私は少し顔を赤くしながらも、


「わ、私も……」


 同じように返しました。


「あ、そういえば私、ユガミさんにおしおきをしなくちゃいけないんでしたっけ……」

「んっ……? ああ、たしかにそうだったね……。色々どたばたしてたから、結局されてなかったけど……」

「今日からは普通に戻れるでしょうし、せっかくですからこれを機に始めましょうか。……個人的なことを述べると少し気が引けますが」

「え、いいの……? あ、ありがとう……。でも、無理はしなくていいよ……?」

「いえ、ユガミさんの心を満たせるように精一杯頑張ります……! 友達ですから……!」

「……そっか」


 私達はそんな会話をしながら歩き続けます。


 私達の関係性は、もしかしたら普通ではないのかもしれません。

 いじめがきっかけで縁が生まれて、時を経て加害者と被害者が再開し手を取り合う。実に奇妙な成り立ちです。

 お友達から暴力や暴言の数々を受けることを心から私は望んでいて、それにお友達であるサヌちゃんも応えようとする。

 ……ええ、かなり普通ではありませんね。


 それでも私達は、これからも仲良くあり続けます。どれだけ困難に立ち塞がれて、人生がどん底に落ちたとしても、サヌちゃんがただ一人いればそれで構いません。

 サヌちゃんという尊く愛しい存在が目の前にある限り、私はどんな事象にも耐えられる自信があります。

 サヌちゃん。サヌちゃん。サヌちゃん……。


(ずっと一緒にいられるといいな……)


 私は心の中でそう思いました。

 しばらく歩いていると、道の先に大通りが見えてきます。

 大通りからは他の生徒と合流することになり、そこからまっすぐ学校へと向かいます。

 サヌちゃんは、


「いよいよ……ですね……」


 微笑みながらも不安そうに呟きます。

 私は、そんなサヌちゃんにそれとなく手を差し伸べて、


「大丈夫……。きっと大丈夫……だよっ……」


 サヌちゃんの不安を和らげられるように言葉をかけます。

 差し伸べた手が少しずつ震え始めて、まったく頼りある風には見えなくなってしまっていましたが、それでも、


「……」


 サヌちゃんはその手を握りしめてくれて、


「ありがとうございます……!」


 私にそう言ってくれました。

 私とサヌちゃんはそのまま手をつなぎながら、大通りへと進みます。

 私たちを待ち受けるのは何気ない日常か、陰湿な非日常か。

 どちらにしても、二人ならできっと乗り越えられる。そんな気がします。

 私達は前向きな気持ちで、学校へと歩き続けました。

これにて完結です。ここまで読んでくださりありがとうございました。

もし面白いと思っていただけたら、またふとしたときにでも見返してくださるととても嬉しいです。


最後に、ブックマークをしてくださった三名の方々のおかげで何とかここまで頑張れました。本当にありがとうございました。

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