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金魚

作者: 芋姫

最近仲良くなった友達の家に初めて遊びに行くと、リビングの一角に水槽があった。


ビー玉などが敷き詰められている水中をしばしうっとりしながら見つめていた時、数匹いた金魚のうちの一匹に目が止まった。


・・・・・・・・・・。


大きさはそれぞれ違うものの、”それ”は他の金魚たちと何ら変わりはない赤い金魚であった。


しかし”それ”はなぜか私の目を惹きつけてやまないのである。


「?」


考えても特に理由は思い浮かばない。その時、友達のお茶が入った、という声に呼ばれて私はとりあえず水槽から離れてそちらへ向かった。


金魚キレイね、と言う私に友達は”ありがとう、先週、近所の夏祭りに行った孫が持ってきたの、と答えた。


・・・・・・・・・・。


やはり、私の気のせいか。 


*****************


****************************************


それから二か月ほど経った頃。


衣替えをしていた私はタンスの中をひっくり返していた。衣類を全部、ひっぱりだしてきて整理整頓する作業に疲れ果て、ちょっとお茶でも飲んで休憩しようと立ち上がりかけた時である。


「・・・・・・・。」 服の山にまぎれて鮮やかな濃紺の布地が目に入った。なんとなく気になったので手を伸ばして、ひっぱる。


・・・・浴衣だった。それも、中学生の時に夏祭りで毎年着ていた物。デザインを見てすぐにわかった。


あまりの懐かしさに手に取ったままじっと見入る。(あの時は楽しかったな。)高校に上がったとたん、ぱったり着なくなり、タンスにしまったまま何十年と時が流れてしまった。


まさかこのタイミングで再会するなんて。思い出に浸りながら浴衣を上から下までしげしげと眺め、裏表ひっくり返したりと夢中になっていると、左袖の下の方に異様に空いた空間があるのに気がついた。



なんだかさみしいわね、ここにも1匹くらい描いたらいいのに、と私はひとりごちた。











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