#4 実戦
俺はあれからバーロンド国立学校の特待生になるための条件である、超級の魔物の討伐に向けてノエルと特訓をする日々を送っていた。
「よし!じゃあルーク、今日も模擬戦やるか!」
「今日こそ俺が勝つからな…」
ノエルは元神級の闘士だったらしく実力はかなり高い。だからハンデとして俺が一発でもノエルにぶち込めれば俺の勝ちでいいと言うルールだ。
(今日こそノエルに一泡吹かしてやる。)
「じゃあいくぞ!」
「模擬戦始め!」
ノエルは開始と同時に俺に飛びかかってくる。
(だが父よ…ボクシングの真の武器はパンチじゃないそれは…圧倒的な分析の目と軽快なフットワークを可能にするステップだ。)
(来るっ!)
ノエルのパンチが空を切る。
「嘘だろ!避けやがった!」
(父さん、俺の現役時代最大の武器は…)
俺は腕に全てのマナを集中させた。
(右ストレートの、カウンターだ!)
「銃拳!!」
「ルーク!ちょっとばかり甘いぞ!」
俺のパンチはノエルに簡単に避けられた。
(次の攻撃が来る!)
ノエルは足を踏み込み俺に拳を振りかざす。だが俺のボクシングスキルの前ではこんなのは危険な事ではない。
「父さんも少し甘いです!」
俺はボクシング流のステップで後ろに下がりノエルのフックをギリギリの所で回避した。
(ここで決める!)
俺は相手のバランスが少しぐらつく間に一気に前に踏み込み、カウンターの準備をする。
(もう一度右手にマナを集中!)
「ルークバレバレだ!どうせ右のストレートだろ?!」
(いや、それはブラフだ…わざとわかりやすく右にマナを集中させ、左への警戒を薄くさせるフェイントだ。前世で培ってきたリングでの立ち回りがここで生きてきたぞ!)
(まずはマナを一気に左の拳へ高速移動!)
「なっ!」
(これが本命の、左のフックだ。ぶっ飛べ!)
「銃拳フック式!」
バキッ!!!!
俺の左フックはノエルの顎にクリーンヒットした。
「うぐぅ!」
(シャ!オラ!)
「な、なんだルーク今のは…あんなフェイントとステップを使うやつなんて見たことがないぞ…」
「そうか?俺的には普通なんだが。」
ノエルは思った。
(この子はこのまま成長すればとんでもない事になるぞ…特待生だって夢じゃないかもな…)
「よし!ルークもう日も暮れているし家に戻ろう!」
確かに外は完全に夜になっていた。早く戻らなければ。
「きゃーー!!魔物よ!ゴブリンよ!!」
(なっ!ゴブリンだと?!)
どうやら夜になり魔物がこの街へやってきたらしい。
「ルーク、下がってろ、俺が様子を見に行ってくる。」
「いや何カッコつけてんだよ、俺もいくよ。」
「な、何言ってんだ!相手は魔物だぞ!」
(まぁノエルの言うことはごもっともだ。愛する我が子を魔物なんかに近寄らせたくないからな。)
「父さんは俺に負けてんじゃん。」
「た、確かにそうだが、それとこれでは全然話が違うんだよ!」
「ふーん。ゴブリンって何級の魔物?」
「初級だが…」
「なら問題ないね。俺はいずれ超級を倒さないといけないんだから。」
ノエルは呆れた顔をした。
「あーもう!わかったよ!確かにお前がゴブリンごときに負けるとは思えないしな、街のピンチだ、人手は多い方がいい。」
(初めての魔物退治楽しみだな…)
俺とノエルはゴブリンの目撃があった場所へと走りだした。
「ルーク、あれがゴブリンだ。」
ゴブリンはゲームで見るような見た目と何ら変わりなかったが額に宝石のような物が埋め込まれていた。
「なんだ?あの額の石は…」
「額の石はゴブリンの特徴だ。俺たちに目や鼻があるのと同じ感覚だ。」
「ふーん。」
(どうにも何か引っかかるが今はそんな所ではない。)
ゴブリンは5人1組が6組いた。つまり30匹だ。ゴブリンは知能のない生物かと思ったがかなり連携が取れているようだ。
「ま、蹴散らすか…」
ダッ!
俺はゴブリンの群れの元へ走った。
「お、おい!ルーク!1人で行くな!」
(うるせぇよ、今俺は無性に自分の力を試してみたいんだよ。)
ゴブリンが俺に気づいたのか待っていた盾と短剣を構える。
(いや、もう俺のパンチの射程圏内だし。)
「銃拳ジャブ式。」
ババババババ
俺は鋭いジャブでゴブリン共の盾をすべて吹き飛ばした。
「お前ら盾なかったらロクに避けれねえだろ?構えでわかんだよ。」
「銃拳ラッシュ式。」
バキバキバキバキバキバキッッ!!!
「ル、ルーク、なんて早いラッシュなんだ…一瞬でゴブリン全員の頭を吹き飛ばしやがった…」
「ほらね、父さん俺強いでしょ?」
「あ、あぁ。」
―翌日―
「ルーク様はいらっしゃいますか!」
「街の平和を守ってくれた若き戦士にどうかお礼を!」
「ルーク様!!」
俺の家の玄関は昨日の事で俺を街の英雄だと言うやつらで溢れかえった。
これが後に世界の歴史を変える事になる英雄王の最初の偉業となった…
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