#3 成長
あれから少し年月が経ち、俺は1歳になった。体が成長していき、2本足で歩ける様になった。さらに
「お母さんー書斎行ってくるー」
(そう、まだ拙いが喋れるようになったのだ。)
「ルークは本当に本が好きね!」
「まぁね」
ガチャ
(うーん、マナの性質や原理は理解したがどうしても出し方がわからない…)
その時一つの本が目に止まった。
「ゴブリンでも分かる!マナの出し方講座!入門編!」
(なかなかに胡散臭い本だな…まぁ読んでみるか。)
(なんだこの本意外と丁寧に順序が書いてある…これはゴブリンでもわかるな…)
(実際にやってみるか…)
step 1 自分の生命力の流れを感じてみよう!
まずは深呼吸して…集中して、自分の生命力が体全体を流れていくのを感じ取ってみよう!
(まぁ物は試しだ。)
「ふぅーー…」
(確かに血液とは別の何か流れている感じがするな…ボクシングで研ぎ澄まされた集中力が生きてるな。)
step 2 生命力の流れを早く!強く!してみよう!
自分の生命力の流れを感じとれたら次はそれを早く、強くしてみよう!
(流れを早く、強くか…)
「ふぅー…」
俺の体から青い霧が出る。ノエルがやっていた物と一緒だ。成功したのだ。
step 3
それが君のマナだ!次はそれを操作してみよう!集中させたい場所に生命力が流れていく様に調整だ!
(よし、しばらくはこれを練習しよう!)
―半年後―
(かなりマナの操作がスムーズになってきた。マナを集中させたいと思えばすぐに移動できるレベルだ。)
(今日こそ闘術をやってみるか…)
俺はノエルが放ったあのパンチが忘れられなかった。ボクサーとしてあんなパンチが打ちたいと自然に思ってしまったのだ。
(よし、まずは初級から初めてみよう。)
この世界には階級がつけられる事が多い。その階級は、上から順に、冥級、王級、神級、天級、超級、上級、中級、初級だ。
(えっとこれが闘術入門編の本だな…)
(まずは一番簡単なこれをやるか…)
ここは室内だが、そんな威力が出るはずはないだろう。大丈夫だ。問題ない。
(まずはマナを纏う!)
俺の周りの霧状だったものが俺にまとわりつく。力がみなぎる感覚だ。
(じゃあいくぞ…)
(右ストレートを打つように前に踏み込んで!)
「銃拳!」
バッッコッーーーン!!!!
俺のパンチは書斎の壁をすべて粉砕した。
(は?嘘だろ…)
「ルーク!大丈夫か!、何だこれは!」
「ルーク何があったの!?」
両親が血相を変えて飛び込んできた。無理もない。最愛の息子のいる部屋で爆発音が聞こえたのだから。
「ルーク、説明してくれ、何があった?」
「実はこの本の銃拳ってやつやっちゃった…ごめん。」
少し沈黙が流れ、両親は顔を見合わせた。
「嘘だろ?…」
「ほらやっぱうちの子は天才なのよ!」
(あれ、てっきりめっちゃ怒られると思っていたのに…)
「初級闘術を1歳で使うやつなんか見た事ないぞルーク!1000年に1人の天才って言われるやつでも5歳で初めて使えるのに…」
「あなた!この子を学校に入れましょう!」
(学校だと!?)
「母さん!学校があるのか?!」
「えぇ…近くのバーロンド国立学校は世界最難関の学校よ。」
(前世でいう、東大みたいなやつか…)
「でも、ルーナ、バーロンドに入れるったって学費はどうすんだ、あそこの学費は家が帰るレベルだぞ!」
(確かにそれは高すぎるな…)
「なら特待生に入ればいいじゃない!この子ならできるはずよ!」
「ルーナ、お前特待生の条件知っててそれ言ってるのか?…」
「もちろん知ってるわよ!私は元バーロンド国立学校の生徒よ!確か試験までに超級以上の魔物を倒すのと、入試で一位を取ることよね!」
(超級の魔物を倒すだと!?)
「え、父さん、超級の魔物ってどんなのがいるの?」
「サイクロプスとか、赤龍とか、ケルベロスとかだな…ちなみに今だにバーロンドでは一度も特待生は出ていない…」
「俺はまだ初級だぞ!?超級はちょっと厳しすぎないか!?」
「安心しなさい、試験は5年後よ。それまで私たちが稽古をつけてあげるわ!」
これから俺は5年後のバーロンド国立学校の入学試験に向けひたすらに修行の日々を過ごしていくのであった…
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