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「バイトやべえ。なんでこんなにピザの注文入るんだよ、クリスマスかっつーの」


 陸の部屋。ゲームをスタンバイさせる私の肩に、彼は頭を乗せた。


「八月ももう終わるんだし、みんな素麺でも食べてろよー」

「ずっと素麺だったから、夏の終わりにピザでも食べたくなったんじゃない?」


 そう言って、コントローラーを陸に渡すが、受け取る気配がない。


「陸?ゲームやらないの?」

「やる」

「めっちゃ疲れてんじゃん。無理して会わなくてもよかったのに」

「やるけどその前に──」


 首に回されるその腕は、いつだって私よりも熱い。触れた唇の先、いつもそこから溶けていく。


「チャージしたい」


 重なる私達に理屈はない。互いに罪悪感を抱えながら一線を超えたあの日から、きっといつまででもこうしていたかったんだ。


✴︎


「ちょっとふたり共、言わなきゃいけないことあるでしょ」


 夕ご飯をご馳走になり、皆で寛いでいると、楓が突然腕を組んだ。


「お兄ちゃん、前にも増して乃亜ちゃんと座る距離近いし、夜ずっとメールしてるし、ふにゃふにゃしてるし。変、変すぎる!絶対何かあった!」

「はあ?ふにゃふにゃしてねえよっ」

「今もスライムみたいだよっ。もしかしてふたり、付き合ったの?」


 陸の反応を横目で見る。見事に耳が真っ赤っかだ。


「楓あたり。付き合ってるよ。陸ってば言ってなかったんだね」


 しれっとそう報告して、陸の二の腕をぎゅっと抓る。


「イッテ!イッテェってば!」


 悶える彼には皆が笑った。


「ちゃんと家族に言えし」

「そんなん、言わないだろ普通っ」

「あ、何。私は家族にも紹介できない恋人なの?」

「そ、そういう意味じゃなくてっ」


 陸の母は、写真立ての中で微笑む母に向かって、何やら話しかけていた。


「今の聞いた?私達の子供達、付き合ったんですって。びっくりねえ。乃亜ちゃんのことは、これからは陸が守るからねえ」


 よろしくね。そんな母の声が聞こえた気がした。

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