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 頬を赤らめながら話す彼女の姿は、恋をしている少女そのものだった。陸と凛花が付き合った。それを改めて実感させられた。


「乃亜、聞いてる?」


 親友がする初めての恋バナにも関わらず、真顔で相槌すらも打たぬ私に、凛花の顔が途端に歪んだ。私は慌てて笑顔を貼り付ける。


「り、凛花と陸かあっ。なんか想像つかないなあ」

「あははっ。だよね。キスした時も自分でそう思った」


 しかしその笑顔も、彼女の言葉でぺらりと落ちた。


「告白オッケーもらった時にチュッと、私から。酔っ払いって凄いね。なんでもできちゃうわ」


 陸の唇の感触を凛花も知っているのかと思うと、口に手をあてがうほどに、気分は悪くなった。


「乃亜、大丈夫?なんか顔色悪くない?」


 吐き気がする。頭痛がする。体調は一気に急降下。


「ご、ごめん……おめでとう、凛花」

「なんか今日の乃亜うわの空だし、風邪でも引いてる?」

「ううん……」

「急に呼び出してごめんね、そろそろ帰ろっか」


✴︎


 凛花と別れた後の私は最近ついた癖なのか、川の方へと歩いてきてしまっていた。ぐらりぐらりと揺蕩う頭。精神状態が、体までをも侵す。


 草のクッションへ倒れ込むように身を預け、空を見た。時折奏でられる草音を耳に、思い耽る。


 もし、陸が私の気持ちと同じくらい私を好きでいてくれたとすれば、今までどれだけ辛かったのだろう。私に彼氏ができる度に、こんなやりきれなさに襲われたのだろうか。苦しくて、切なくて、だけどどうすることもできないもどかしさに。


 涙が真横に流れて垂れて、耳の穴が冷たい。今までどれだけ陸に対して身儘で、最低だったのか、この心の痛みが答えとなった。


 暗い暗い闇の底。差し伸ばされる手はもうない。

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