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ふたりは女子高生《Ri's》バンド  作者: azakura
2章 Teen's Music Servival 予選
7/13

1次選考 結果

 関東グループの予選から一週間後、全国の各会場で開催された一次の予選は予定通り終了した。そうして選考通過バンドの発表を高校帰り、行きつけのカフェで待つリカとなこ。


「あー、さすがに緊張するね」


 なこは軽く笑いながらも、言葉どおり口元には緊張が隠しきれていない。


「ヤバイ、コーヒーの味がわかんない」


 緊張が顔に滲んでいるのはリカも同様。昨晩からなかなか落ち着かない。今日の授業がほとんど頭に入っていないくらいに。


 発表十七時の一分前。


 落選だったら怖い。二ヶ月の努力が無駄になるんじゃないか。そんな不安を抱きながら、リカはなこの横でスマートフォンを見つめ、固唾を飲む。


「心の準備はいい? 一回深呼吸しとく?」

「いいよ、覚悟はできてる」

「よし、えいっ」


 十七時を回った瞬間に、なこは発表ページを開いた。通過バンドは五〇六組の中から三十組。なこは下へページをスクロールしていく。


「まだ……ない? 見落としてないよね?」

「見落としてはないと……思うけど」


 ページの半ば、そして下部をスクロールしても【Ri's(リズ)】はない。駄目か……、リカの気持ちが失望へと移りかけたその時、


「あった!!」

「うそ、ほんと!?」


 なこが細い人差し指を伸ばした先には、確かに【Ri's(リズ)】の表記。バンド一覧の最下部にある。


「五十音順だったんだ……。不安にさせないでよ、もう」

「あは、心臓に悪いね。けど、第一関門突破だ」

「そうだね。ああ、よかった」


 なこが差し出した掌を、リカは心底緩めた顔で握り返す。


「グランプリを狙うバンドからしたら通過点なんだろうけど、リズにとっては大きな一歩だね。あたしたちのスタイルでも通用することがわかったってことは」

「だね。次の選考まで二週間しかないけど仕上げていこうよ」

「リカちゃん、声が裏返ってたもんね。ちゃんと直してよ?」


「う、反省してる……。どうしても緊張が抜けなくて……」

「ま、あたしだってミスはあったし。お互い反省して、最高の状態で次も突破しちゃいましょう。よ~し、今日は祝勝会だ。ケーキ食べちゃおーっと。何にしよっかな~」

「じゃあ私はモンブランで」


 この時ばかりはご褒美として、二人はちょっとばかしの贅沢をした。

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