表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オーデナリージャンプ  作者: 市丸 時化人
6/108

のっぽの勧誘

中学生らしい生活を送り出して

三週間が過ぎた。早い。


部活も始まり、友達の放課後も忙しいそうだ。

強豪部活はないが、僕達一年生は

部活に入る人は多いと思う。


僕はさほど関心ない。

僕も普通に学校に行き

普通に授業を受け

普通に帰宅する。


ただ変わったのは、

薫生が家に帰ってから僕に付き合う時間が減ってきている事ぐらい。


彼は自分の友達と遊び事の方が増えてきたのだ。

それはそうだろう、友達と遊びのはやっぱり楽しい。


かといって僕はサッカー部に入るつもりはない。


家に一人でいる時間が多くはなったがさほど疎外感は感じない。


学校では友達とも普通に話し

冗談を言い、勉強もする。家の中でもそうだ。


大方の中学生はこんな生活だろうと僕は思いながら眠りについた。


次の日、いつもように教室入る。


後から教室に入ってきた、珍しいコンビに声をかけられた。


「おはようセイちゃん。」

「誠おはよう。」


そのコンビは恵太とメンボウこと中村基樹(なかむらもとき)だ。


「あっおはよう」僕はちょっと警戒をしながらも挨拶をした。


恵太はやんちゃであるが誰にでも声をかけるタイプだが朝から僕に絡む事はまずない。

しかも、メンボウとは仲がいい方ではなくただのクラスメイトだ。


なぜ彼のあだ名がメンボウかというと

170センチ後半の身長で体が細くフサフサした髪型からだ。


恵太が話を切り出した。

「セイちゃん、小学校でずっとサッカーしてたよね?」


「あっうん。」


「ほらなぁ、言っただろ。」とメンボウを見て振り返り話を続けた。


「でもセイちゃんはサッカー部入んないんだよね?ってか部活してないよね?」


「あっうん。」


そこまで聞いて、メンボウが話し出した。

「誠、オレと一緒にバレーボール部でバレーしようよ。」


「えっ?バレーボール?」


「そうバレー。何にも部活に入ってないんだろ?」


「あっそうだけど、僕はバレーボールした事ないし、ルールもよくわからないし・・・」


「そんなのは入ってからでも全然大丈夫だから。」


「でも、何で僕なの?」


「こいつがバレー部に一緒に入ろうって恵太から誘っといて、いざオレがバレー部に入ったらこいつ、

サッカー部に入ってやがんの!」


メンボウと恵太は家が近い。

幼馴染みのようだ。


「バレー部は一年生は、オレ一人なんだ。だから恵太にも誰か探せって言ったら誠は小学校でずっとサッカーしてたから、運動神経はいいぞっていうから、どう?」


「どうって、言われても」


もうとっくにチャイムは鳴っていて、

先生が入って来た。


「おーい席に着けー」


その声に教室中は一斉に自分の席に戻った。



休み時間中、メンボウの勧誘が続いた。

正直バレーボールは小学校の体育館でママさんバレーをサッカーの練習中に

チラッと見ただけ。


家でテレビも見た事はないほどそれくらいの認知度である。


だから、僕は本当に出来るかどうかの自信がなかったしやる気もなかった。



僕は放課後もメンボウが勧誘に来るかとヒヤヒヤしていたが、放課後は彼の方が忙しいそうだった。


しかしメンボウは一言だけ

「一緒にバレーやろうよ。なっ。」と言って走って体育館に消えていった。


あくる日もメンボウは勧誘に来た。

もう恵太はそのことに感心はなく

自分が元凶だった事も忘れて、お役ご免と言わんばかりに休み時間を満喫していた。


メンボウの勧誘はしつこかったが

僕は結構、聞こえないフリをするのが得意だ。



前も母と薫生と3人で歩いている時に

骨太三太と仲間が遠くから声をかけて来たが、聞こえないフリをするほど。


母が「誠って呼んでるよ。聞こえてる?」と心配したが僕は前を向いたまま、

「いや、聞こえない。」と言い放って

母をヒヤヒヤさせたほどに聞こえないフリができる。


こんな肝が据わったというか横着というか、父譲りだと思った。


そんな僕の態度にも負けずメンボウの勧誘攻撃は止まらない。


彼はバレーの面白さを語ったり

ポジションの話をしたり、選手のスーパープレーを語ったりしたが

そもそも僕はバレーボールの試合を見たことがないから何がどれだけ凄いのも頭、いや耳に入らないし、想像も出来ないでいた。


そんな事が数日続いたある日。


「君が今川君?」と声をかけられた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 何気ない会話が緩い感じでミニシアターっぽくて好きです!! 私もバレーボール経験者なので続きを楽しみにしております。 私もスポーツ系の小説を書いてます!! お互い頑張りましょう!!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ