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オーデナリージャンプ  作者: 市丸 時化人
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部活紹介

中学校生活は学力を見る各教科のテストから始まった。


小学6年生の復習テストのようなものだったので大多数はスムーズだったようだ。




周りの友達とも徐々に慣れて来た。


周りが見えるようになってきた分、気になる子もチラホラと出てはきたが表情には出さない。




出ていないと願っている。




中学一年はまだまだ女子の方が背が高い。


僕のコンプレックスである。


そのコンプレックスがあらゆるブレーキをかけていることは確かである。


かといって僕は不幸な中学生活を送っているわけではない。




それなりに満足している。


充実はしていないが満足はしている。


大方の中学生がそうだと思う。




一言で言えば「別に」で終わるような感じだ。


今のところ、小学校時代とあまり変わらないと感じている。




変わったところは、人数が増えた所や


教科ごとに先生が変わること。




それに給食の食パンが3つになったこと。




掃除の時間になり、淡々と掃除をする人と話をする為に集まってる人、


その場にいない人、それぞれであるが


僕はその淡々と掃除をする人の1人である。




不公平感は感じるが、目くじらを立てて怒る事でもないと思っている。


ただ早く掃除が終わればいいと思うばかりである。




「何の部活に入るか決めた?」




「もう決めてる、部活?」




「俺は決まってる」




「私はまだ迷ってる。」




そんな会話が聞こえてた。


あ~そうか、この後は部活紹介で体育館に集まるんだった。




「よう誠!お前はサッカー部入るよな?俺は入るよ。」




掃除時間の終了3分前にきっちり帰ってくる敦太が話しかけてきた。




「あっあ~」




僕は聞こえるか聞こえないかの声と


同じく中途半端な返事をしたことは敦太にはさほど重要ではないというか


彼の中では僕はサッカー部に入ると決まっているからだ。




小さな地域なので、小学校でサッカークラブに入っていた生徒は大方が中学校でサッカー部に入っているからだ。




淡々と掃除をこなしていない方が


ぞろぞろと教室に帰ってきた。




ガヤガヤと会話が飛び交う。


いつもなら僕もこの会話に入っているのだが、今日のもっぱらの話題は


この後に控える部活紹介の事。




僕はどの部活に入るかという事を振られたくないので、


じっと自分の席に座り気配を消し事に集中していた。




はたから見たら、トイレを必死に我慢しているように見えてるかも?と思いとふっとおかしくなったがその笑いも消し去った。




一人、席でニヤニヤしていたら


おかしな奴で逆に目立ってしまう。




「よ~し、廊下に整列。体育館に移動するぞ。」




担任の先生がドアから上半身だけを出して声をかけた。




僕達は背の低い順で整列を始めた。


前から二番目の僕は何とかその二番目で小さなちいさなプライドを守っている。




そのすぐ後ろは敦太で僕の肩に手を回しながら、もっと後ろの骨太トリオの相方と大声で話していたが、先生にすぐに注意をされた。




ドヤドヤと全一年生が体育館へと移動して行く。


体育館に差し掛かるとチラリと各部活のユニホームを着た先輩の姿が見え隠れしている。




先ほど思っていた、小学校との違いの中に先輩になった年上も入ると思う。


一年、二年前は気軽に話しかけていた、ただの年上が今は先輩と化けたのだ。




現に彼らも「ガキとは付き合ってられない。」と言わんばかりの態度に変わっている。




それだけでも中学生という年代は本当に不思議だと思うのは僕だけではないはずだ。




体育館に入り、校長先生の話の後に


各部活の紹介が始まった。




文化部も運動部も笑いを取ろうとする部活もあれば真面目に紹介する部活もあり、


それなりに楽しめている。




自分の入ると決めている部活の紹介の時はみんな表情が少し違うと感じた。




この学校に強豪部活はない。


どの部活も中の下ほどである。


校長室の前に賞状は数えるほどしかないのがその証拠である。




その中に一昔前の県大会で準優勝と九州でも準優勝のサッカー部の賞状がだけが群を抜いての成績である。




なぜ僕がその事を知っているかというとその賞状は父の代の物であり、


散々とその事を聞かされたから。




そんな事を思っていたら、部活紹介は


終わりを告げていた。




興奮気味の友達は今日の放課後に早速入部届けを出すと叫んでいる。




人それぞれ、部活に対しての思いがある事がわかった。


僕もその一人である事は間違いない。




どんなに誘われようとサッカー部に入るつもりはない。


いい訳なども別に考えてもいない。


僕の中では父との話が終わった時点で


サッカーとの決別は決まっている。




僕の中で部活はもう決まっているんだ。



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