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オーデナリージャンプ  作者: 市丸 時化人
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基礎練習

「誠、今日の練習は外だからな。また迎えには来るけどな。」


「わかった。」


体育祭の合同練習の時にメンボウが大声で言ってきた。


体育館は交代で他の部活と使わなければならない。今回の男子バレー部の練習は屋外のようだ。

しかも、体育祭の応援団も放課後に至る所で練習をしているのでネットは立てないで練習をするらしい。


僕らは体操服のまま本来はネットを立てるであろうコートに向かった。


先輩達も集まって来ている。僕らはバックを隅に置いて先輩達に近づいた。


「ちわっす。」


「こんちはっす。」


「おう。」


「やっぱ体育祭の練習後の部活はだるいね~。」


「そうそう、それで基礎練だからマジキツイわ。」


そんな会話が聞こえてきた。


「みんな揃ってるな。よしアップ始まるぞ。」


井ノ口先輩の号令でまずはランニングが始まりストレッチへと移る。


そして本当に時間を計ったかのように

ストレッチの終わりに稲尾先生が来た。


「集合!」


井ノ口先輩の声でみんなが稲尾先生の前に集まる。


「皆さん、体育祭の練習で疲れているかと思いますしこの時期、コートが使えないことが多いです。しかし基礎を再確認して強化する時期と気持ちを変えていきましょう。基礎をおろそかにすると試合で後悔します。さぁいきましょう。」


「はい!お願いします!」


今回はこの後、ダッシュになった。走りの練習が入るようだ。

僕は体力は落ちているがスピードには少々自信がある。


そしてダッシュでは上位に入っていた。



「よし、ボールの準備!直上から!」


「おう!」

「はい!」


僕とメンボウはボールを用意してみんなそれぞれボールを手にして直上を始めた。


長谷部先輩が僕を手招きしていた。僕は走って行き、お願いしますと声をかけた。

僕はオーバーハンドが苦手だ。かと言いってアンダーが上手いわけではないが。


「いいかい、もう一回見せるよ。」


長谷部先輩は丁寧に見本を見せてくれた。僕のイメージでは同じ動きをしているつもりだがボールの軌道を見ればそれが全然出来ていないのがわかる。


「長谷部先輩はレシーブがうまいですね。」


「そうか?ありがとう。後、上手く教えれればいいんだけどな。」


「上手いです!僕が下手いだけです。」


「いや、オーバーは難しいよ。う~ん、レシーブは手や腕だけじゃないんだよなぁ。」


手や腕だけじゃないか、じゃぁ何なんだろう?


「次、二人組でレシーブ、オーバーハンドパス。」


「うぃす!」


これは二人でレシーブのやり合いだ。

当然僕は長谷部先輩とやる。


長谷部先輩からは僕がレシーブしやすいボールが返って来るが僕のボールはと言うと高かったり低かったり、右に左にと落ち着きがない。


申し訳ないと思ってはいる。しかしボールを返すのに精一杯だ。


それでも長谷部先輩のボールは正確に帰っ来る。

僕のボールがどこに行こうが真正面のポジションを取っている。


ん?真正面?


なぜ長谷部先輩は僕の真っ直ぐじゃないボールの正面に来れるんだ?


僕は自分のボールが真っ直ぐ行く事よりも、長谷部先輩がなぜボールの真正面に入れるのかが知りたくなって、長谷部先輩の動きの方に意識が向いていた。


見る、見る、見る。


ボールを返しながらでも見る。


この見方はサッカーをしていて時に父さんに教えてもらった。


サッカーはボールだけを見るとすぐに相手に取られてしまう。

だから顔を上げて全体を見る事でその視野にボールを入れるのだと。


ボールはそこにあるくらいの感覚で見るのだと。


とっさにそれをやった。意外と上手くいってる。

あっと肝心なのはそこじゃないんだ。


長谷部先輩の動きだ。


そうか!




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