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オーデナリージャンプ  作者: 市丸 時化人
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初練習開始

「先生が来てからまた紹介やら話やらするんでしょ?それなら早く始めましょうよ。」


「・・・そう、だな。じゃぁアップ開始しようか。」


井ノ口先輩の言葉で僕らは二列になり

軽くランニングをして、ストレッチを始めた。


「よし、直上パス開始、メンボウと今川君はボールを用意して。」


「うっす。」


「あっはい。」


僕はメンボウとボールを取りに小走りをした。その時にメンボウが小声で話しかけてきた。


「居たの忘れてたよ。あの人はいつもあんなだから気にすんなよ。」


「あっうん。」


あの人とは2年の麻生 左京(あそう さきょう)先輩の事で

間違った事を言ってないのだが、時とタイミングがいつもイマイチのようであり

自分にしか関心がないそうだ。


しかも、その麻生先輩が今のバレー部のエースだという話だ。


直上パスを開始しようそのタイミングでバレー部の顧問の稲尾先生が入ってた。


稲尾先生は国語の先生で結構年配である。


「集合!」


井ノ口先輩の声でみんなが稲尾先生の前に集まった。


「先生、今日は新しい部員が一人入りました。」


「そうですか、それはよかった。」


僕は井ノ口先輩に手招きで呼ばれ先生の近くに寄った。


「一年の今川誠です。よろしくお願いします。」


僕は先生に挨拶をした。


「稲尾です、よろしく。今川君はバレーの経験は?」


「あっありません。」


「はっ初心者かよ。」


麻生先輩が呟いたのが聞こえた。


「うんうん、誰でも始めは初心者です。バレーに興味を持ったことから始まりますよ。

今川君、周りをよく見、よく聞き、よく考えて、吸収してく下さい。

さぁいつものようにいきましょう。」


「はい!お願いします!」


その掛け声でみんなは直上パスへと移って行った。


「長谷部君、今川君に指導をして下さい。お願いします。」


「はい、わかりました。行こうか。」


「よ、よろしくお願いします。」


バレー部は3年生が4人2年生が11人1年が2人からなっている。


この稲尾先生は教えようとはしない。

しかし数年前に県大会に出場をさせた経験がある事を聞いた。


自分達考える事が多いバレー部は

みんな生き生きしているように見えた。


「今からは基礎の練習だから、まずは直上パスをやってみようか。見てて。」


「はい!」


長谷部先輩は自分の頭上で一人でパスを続けて見せてくれた。


指の使い方や方法を優しく教えてくれた。


「じゃぁやってみようか。」


「あっはい。」


やはり上手くいくことはない。

バレーは手を使うスポーツであるが

ボールを手に留めておく事は出来ないスポーツである。


そのボールを手に留められない事は初心者のは難しいかった。


「まずはこんな感じかってわかればいいから。」


「はい。」


緊張からなか、恥ずかしさからなのか

僕は汗がドッと出て来た。


「初めからは上手くいかないから、俺だってそうだったから。」


「あっはい。」


「次、壁打ち!」


井ノ口先輩の声でみんなが壁打ちへと

向かった。


「壁打ちやってみようか。」


「あっはい。」


長谷部先輩は壁打ちも丁寧に教えてくれた。


「じゃぁやってみようか。」


「あっはい。」


壁打ちは少しだけ自信がある。まっすぐ、まっすぐだ。


僕はそう心で呟きながら壁打ちを始めた。


「おぉ、なかなかやりじゃないか。

上手い上手い。」


長谷部先輩がそう言ってくれた。

一週間やった甲斐があったぞ、

正確には5日間だけど。


そうは言っても僕のボールはあちらこちらに行ってしまう。


その間にも長谷部先輩は壁打ちが続いている。僕と何が違うのだろう。

僕はボールがそれて取りに行き戻って来て長谷部先輩の壁打ちを見る。


これを繰り返していた。

なにが違うのか。とても知りたい。

しかし僕は聞くのではなくて探して自分で気がついて知りたくなった。


だから、長谷部先輩の壁打ちを見る。

そう赤ちゃんがお母さんの顔をじっと見るように。


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