不器用な協力
「え?と、父さん!」
なんでこんな早い時間にここにいるんだ!
「なんで?早いね今日は。」
「おう、仕事は落ちついてきたから早く帰ってれた。で、お前はサッカーボール持ってなんしようとや?」
僕はレシーブが目標に達したらその勢いで父さんにバレー部に入る事を言おうと思ってたのに突然すぎるよ。
「なにや、なんかスポーツするとや?」
僕は意を決した。というより聞かれた質問に自分の考えを付け加えようと思った。
「僕、バレー部に誘われたんだ。」
「バレー?お前した事なかろうもん。」
「うん、だから・・・レシーブが100回連続で出来たら入ろうかと思って、
それが出来たら父さんにも話そうと思ってた。」
「ほぉか~、なんで入る前にそんな事するんか?」
「自分でもよくわからない。・・・友達も先輩もバレーした事ない僕によくしてくれたし、友達は一人でバレー頑張ってて、・・・何度も誘ってくれてるけど何にも出来ないから。」
「ほぉか、自信がないけどやってみたいが何かのきっかけがほしいったいな。
で、このレシーブは誰かに言われたんか?」
「いや、自分で考えた。」
「めんどくさい事しとるの~けど自分の考えで行動するのは嫌いではないな。で、いつまでなんか。」
「今週いっぱい。」
「ほぉか~日にちは無いの~やれるまでやってみたらいいかんか。」
「えっあっうん。」
「お母さんの手伝いしよったのは知っとる、明日は俺と薫生でするけん心配すんな。」
「でも、明日も父さん早いかわかんないでしょ?」
「明日はじいちゃんの月命日やけん早く返してもらう。お前はつくずくじいちゃん子やな。」
僕のじいちゃんは僕が5歳の時に天国に行った。けど僕が初孫で出不精のじいちゃんは僕をどこにでも連れて出かけた。病院を退院したその足で電車で出かけた事もあったくらい僕を可愛がってくれた。
「今日は終いにしとけ、集中力が欠けたやろ。それやったら腕が痛くなるだけやけん。」
「うん、わかった。」
そう行って僕と父さんは家に向かって
歩き出した。
家についた時に
「そのまま風呂に入ってアイシングせろ。」
「あっありがとう。」
「薫生~父さんの手伝いばして~」
「お父さんおかえり~」
今日は二人は色々してくれ
晩御飯は父さんの独断で20個入りの餃子パックを6パックも買ってきた。
それが今日の夕飯のようだ。
父さんが夕飯の準備中に母さんが帰って来た。僕の次に母さん、
薫生がお風呂に入り最後に父さんが入って夕飯が始まる。
「権ちゃんありがとう、助かった~いただきます!」
「いただきます!」
「どげんやった?」
父さんがビールを一口飲みながら母さんに聞いた。
「うん、土曜日の朝、一泊の外出許可が出たよ。」
「そらぁよかった。お母ちゃんの調子はよかった?」
「うん、顔色もよくて今日も待ってましたとばかりに喋りまくってたし、
一時退院の許可が出てすごく喜んでた。」
「うん、うんよかった。」
「それで、お姉ちゃん家に連れて行く事になってる。でもお兄さんが土曜仕事で・・・」
「なぁん、俺が迎えに行こう。」
「よかった~後でお姉ちゃんに連絡しとくね。それで土曜日はみんなでご飯をゆっくり食べようって、だから泊まりの準備もして来てって。」
「うん、わかった。姉ちゃんにはよ連絡しとき、落ち着くやろ。」
「うんわかった。ごめんね食事中に。」
そう言って、母さんは伯母さんに連絡するために席を立った。
母さんのお母さん僕のおばあちゃんは体調が悪くて入院をしている。
母さんは夕方におばあちゃんの病院に寄ってきているので帰りが遅いのだ。
「明日は俺と薫生でやるけん、自分の気がすむまでやって来い。」
「うんわかった。」
「薫生ちゃん、明日も手伝いしてね。」
「え~僕ばっかし。」
「そげん言うなよ~明日はKFCにするけんさぁ、ね?」
「モスチキンがいい~」
「いやや~モスにいったら、バーガーも頼むやろうが、チキンとご飯やけんな。」
「モスチキンがいい~」
「わかった、明日の働きで決めよう。」
「なんの話?」
母さんが戻って来た。
「明日はオヤジの月命日やけん、はよ帰ってくる。そんで薫生が手伝い全部やるって言うけん、
明日はKFCにするけん、バタバタ帰ってこんでいいよ。」
「全部するって言ってないよぉ、それにお母さん、モスチキンだよ。」
笑いの中、僕はみんなの協力があって
自分の挑戦が出来ることを噛み締めた。
明日が挑戦の最終日になる。
僕の中にも闘争心がある事がわかった気がする。