やせ我慢に応援。
学校では体育祭の練習もあり、
一人で団地の練習場での練習は
集中力をなくしてしまう。
僕はこんな所で一人で何をやっているんだろうと
集中力がなくなった時に必ず思う。
だけど、母さんに話して本当によかったと思っている。
もう一度、集中力を復活させてくれる。
少しずつだが、レシーブが続く楽しさも出てきた。
後はバレーボールを持ってないから
サッカーボールでやっているので
重さと痛みが最大の敵である事には間違いない。
「あー痛い。」
僕は赤くなった腕をさすりながら
何回この言葉を言っただろう。
今日のタイムリミットに近づいてきた。僕はラストのレシーブを始めた。
60回が見えて所で腕の痛みに我慢できずにボールをそらした。
「あー痛い。」
また僕はそのセリフを吐いて。
家路を急いだ。
母さんは夕方の時間は練習に使っていいから。と言ってくれたがそれは
悪い気がして手伝いはしようと決めてる。
「薫生、お前も手伝え!」
「ボク、洗濯物たたんだもん。」
「洗濯物?おまえこれ畳んだんじゃなくて丸めただけだろ。やり直せよ!」
「どうせ明日着るからいいやん。」
「くっ、まだ他にもする事あるからゲームやめろよ。」
「この一回だけ~」
いつものらりくらいする薫生に
イラだった。理由は手伝わないから
でけではない事はわかっていた。
なんとか、母さんが帰って来るまでに
手伝いは終了して、
僕は凍らせてある保冷剤を腕に当てながらテレビをみている。
でもテレビはただついていると言った方がいいかもしれない。
僕はレシーブのことを悩んでいたが
ただ悩んでもうまくいかない、やるしかないと呟き、他の事を考えることにした。
最近は暖かい日が続いている。
日中は暑い日もある。
「誠、なんで上着てるの暑くないの?」
佳愛が体操服の上のジャージを着ている僕にそう言ってきた。
「別に暑くないよ。」
僕は額の汗を無意識に拭きながら答えた。
「ウソだ~今、汗拭いたじゃん。」
「いいんだよ。暑くないから。」
僕は赤みと痛みが抜けない腕を隠したくて、ジャージの上にだけじゃなくて、
みんなが上を脱いでいる制服さえも着ている。
「本当に暑くないの?誠くん。」
佳愛と一緒にいた六美ちゃんが話しかけてきた。
「うん、暑くない本当に。」
彼女から話しかけられて僕はより一層汗が出てきた。
正直、暑くてたまらない。
「誠、レシーブは上手くいってるか?」
メンボウが僕の後ろから話しかけてきた。
「なに誠、バレー部に入るの?」
佳愛が驚いたように聞いてきた。
「まだ入るかどうかは考えてるところだよ。」
「いや、1週間自分でレシーブ練習したら入るんだもんな。」
「まだわかんないって言ってるだろ。」
「え~でも井ノ口先輩は誠が前向きに考えてくれてるから、期待してるって言ってたぞ。だから俺も誠を待ちわびてるだぞ。」
「そうね、バレー部は一年がメンボウ一人だから、誠が入ったらメンボウが喜ぶね。一人より二人だよね。むー?」
「う、うん。中村くんも喜ぶしそうなったら、体育館で逢えるかもしれないね。レシーブ頑張ってね。」
「そ、そだね。」
そんな返事しか出来ずに僕は暑さも手伝って早足でその場を離れて行った。
「誠~レシーブ頑張れよ~待ってるからな~」
あーメンボウはなんてことを言ってくれたんだよりによって六美ちゃんに知られるなんて。
僕は団地の練習場に向かった。
今日はすごく汗をかいたが
頑張っての一言はすごく嬉しかった。
決してメンボウの言葉の方ではない。
僕は壁打ちを始めた。
今日はいい感じで集中出来ている。
あとは腕の痛みをどれだけ我慢できるか。
「ふぅ。」
ボールは落ちてしまったが、大幅に回数が上がった。よしいけるぞ。
「お前、こんな所でなんばしようとや?」