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オーデナリージャンプ  作者: 市丸 時化人
106/108

プロブレム,ノープロブレム


「そのボールをよこせブレイス。」


アインが少し興奮して言った。


「はっ?フリーキックはオレが蹴るんだよ。」


ブレイスはボールを渡そうとしない。


「このフリーキックは大事なんだ、よこせよ!」


「大事だからオレが蹴るんだよ!」


アインとブレイスは胸ぐらを掴みあっていた。


「やめろ2人とも!」


ベンチから走って戻ってきたレイアンが2人を止めた。


「このフリーキックはアインに任せる、これはキャプテンとしての決定だ。」


レイアンはそう言いながらブレイスからボールを奪ってアインに渡した。


ブレイスは赤い顔をして何かを言おうとしたがレイアンの鋭い目つきにチッと舌打ちをして後ろへ下がった。


アインがフリーキック位置にボールを置きゴールを見据える。

結構いい位置でのフリーキックなのでブルーウッドは壁を5枚揃えた。


「アイン決めてくれよぉ〜。ん?あの格好どっかで見たことあるなぁ。」


誠はペナルティーエリアから少し前に出た位置で独り言を言っていた。


アインはセットしたボールから左斜め後ろに3歩下がってまたゴールを睨みつけた。


ピーーーー


審判の笛が鳴りアインは一つ深呼吸をした瞬間。


「あっあのブレイスの格好はクリスティアーノ・ロナウドだ!」


ブレイスはクリスティアーノ・ロナウドの独特のフォームを真似してアインが深呼吸を入れた瞬間にボールに走り出した。


「これはオレのボールだ!アゥアウチッ!」


ブレイスはそう言いながらチョコンとボールに触ってしまった。


「ボールに寄せろ!」


ブライアンが叫ぶと同時に壁になっていたブルーウッドの選手がボールへと突進してきた。


「なっ!くくそぉぉ!」


アインはそう言いながらボールに近づきシュートを放ったしかしそのボールは詰めてきたデフェンスに当たりサイドラインを超えてスローインになってしまった。


「おまえなんて事をしたんだ!大概にしろよ!」


アインが振り向いてブレイスに言い放ったがブレイスの様子がおかしい。


「アァァァァ太ももの裏が、裏が・・・」


「はぁぁ?」


アインは怒るのもバカらしくなっていた。

審判を始め各々がブレイスの近くに集まって来た。


「オイオイオイオイ、もしかして全力でダッシュしたから肉離れか?」


「クククククッ」


ブライアンがそう言い放ち、クリスがブライアンの背後で声を上げずに笑っていた。


ノーマンズベンチからもステーブや何人かの親が駆けつけ権之助もその場にやって来た。


「大丈夫かブレイス?」


ステーブが声をかけるとブレイスは大きな声で痛がった。


「あ〜こりゃ早く病院に連れていったがいいよ。」


権之助が言った。


「しかし私はここにいなければ・・・」


「ノープロブレム!」


ステーブの言葉を遮って権之助が言った。


「だが私はコーチて采配・・・」


「ノープロブレム!」


「だが・・・」


「おっとこんな所にプロブレムがこりゃほっとくとまずいんじゃぁないか。」


その権之助の言葉にブレイスがより一層大声を上げた。


「オォォ太ももが砕けてる、オレの太ももがぁぁ!」


泣き叫ぶブレイス。


「あちゃ〜この子の親からどこにおるんいな?」


そう言ってキョロキョロわざとらしく周りを見る権之助。


「おっとあなたがこの子の親御さん?ちょうどよかった早よ病院へささっ病院へ。」


権之助はブレイスを持ち上げステーブへと渡した。ステーブは口を尖らせて何か言おうしたがブレイスの叫び声でかき消された。


「おっしゃこれでいい。」


権之助が手をパンパンッと叩いた。


「ですが権之助さんこの後、誰が指揮を取るんですか?」


アンドリューの父、キムは言った。


「指揮?あ〜キムさんそれは心配ないよ。ブリッジさんあんたが指揮を取ればいい。」


「えっ私が?」


アレックスはいきなり話を振られてビックリした。


「そうブリッジさんあなただよ。あなたはサッカーの経験も豊富で偏った見方はしない、厳しい状況やけど、いや厳しいからこそあなたしかおらんよ。」


権之助が真剣な顔でブリッジを見た。

アレックスは深く息を吸い込み


「OK、わかりました。ウイリーアップを始めろ時間はないぞ。」


「ヤァ!」


ウイリーは上着を脱ぎ捨て走り出した。


「レイアン、アインちょっといいかな?」


アレックスが2人に話しかけた。


「負傷者は2人だがフォープスはカード累積で出られないもうウイリーしかいない。

そう1人少ない状況で戦わなければならない。」


「ヤァ。」


「そこでデフェンスは3枚にする。ジャクソンとウイリーのツートップの下にアインを置く、そしてアンドリューをボランチポジションにしてその空いた右ハーフにザグレブをあげる。人数は少ないが私達は点を取りにいかなければならない。レイアン、またしてもデフェンス陣に負担がかかるがやってもらいたい、君達はどう思う?」


「アインをあげるのは賛成です。僕達はリスクを冒しても点を取りにいかなければならない事にも賛成です。後はカウンターにするのか対等に責めるのかはアインに任せます。」


「アイン、君はどうかな?」


アレックスが聞いた。


「2人の意見に賛成です。点をもぎ取ってやる!」


「では簡単にそれぞれ仲間に意思を伝えてくれ、さぁ行こう!」


「ヤァ!」


「ウイリー!」


アレックスはウイリーを呼んだ。


「さぁピンチだがチャンスがやって来たぞ、お前は仲間より体力がまだある、その分動き回って自分にも仲間にもチャンスを作ってくれ、いいな!」


「ヤァ!」


そう言ってウイリーはピッチへと駆けていった。




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