ペースを握られたたままの後半開始
後半はノーマンズFCのボールから始まる。
レイアンが持っていたボールをブレイスが奪って歩き出した。
レイアンはハァとジェスチャーをしたが文句を言う気力も失せた。
ブレイスはキックオフポイントにボールを置いて膝まずきボールの上に手をのせて目をつぶってうつむいた。
「お~お~やる事はプロ並みだな。」
ブライアンが半笑いで言った後ろを口を押さえて笑っているクリスが通り過ぎて自分のポジション向かった。
レイアンは頭をかきむしりながらもう知らんと自分のポジションに向かった。
「あれは儀式かなぁ?ブレイスも緊張してるのかなぁ、あっそうだった人人。」
誠はそう言いいながら、グローブを外そうか迷ったがグローブを着けたまま人の文字を書いて飲み込んだ。
「おいサム。」
「なんだ?」
「あの僕ちゃんは必ずドリブルでやってくるから奪ってしまえよ。」
「フッあーわかったよ。」
ブライアンとサムがそんな会話をしてポジションに散った。
ピーーー
「フットボールの神への祈りで得たパワーをこのボールに伝えてブルーウッドのゴールに突き刺してやるぜ。」
ブレイスは勢いよくドリブルに入った、だがサムがブレイスのドリブルの動線に入った。
ただ入っただけのサムにブレイスはぶつかり尻もちをついてボールを奪われた。
「・・・かける言葉もねぇよ。」
サムはそう言い残すとブレイスの元を離れて行った。
ドリブルに入ったサムはをアインがすぐさまデフェンスに向かう。
サムはアインが近づいて来たのがわかりヒールキックでボールをブライアンに渡した。
ブライアンはボールに触れる直前にテリーとクリスを見た。
「サイドにボールを振るぞ!警戒しろ!」
レイアンが叫ぶ、その言葉に誠も左右を見て膝を落とし手を胸の位置に上げ態勢を整えた。
それぞれ両サイドのテリーとクリスが走り出す、その2人にモトガーとネイフがマークにつく、レイアンの頭に本当にサイドを使ってくるか?と疑問がよぎった。
レイアンはサムを守備範囲に入れようと左斜め前に重心を動かした。
「レイアンどっちも正しくないぜ。」
ブライアンが呟いた。
「誠!そのまま構えて一歩左に動け!」
権之助が叫び、誠は構えたままボールから目を離さずに一歩左に移動した。
その瞬間にブライアンは右足でカーブをかけシュートを放った。
レイアンは人間の本能で咄嗟に顔を背けてしまった。
ブライアンのシュートが弧を描いてノーマンズゴールに襲いかかる。
「と、どぉけぇぇぇ。」
誠は思っきりジャンプと左手を伸ばし中指と薬指の先になんとかボールを当てコーナーキックに逃げ延びた。
「よぉぉぉし!よし!」
権之助が小さくガッツポーズをした。
「決まると思ったけどな~」
そう言いながらブライアンはコーナーへと向かった。
後半も初っ端からペースを握られたノーマンズ。
コーナーキックはネイフのヘディングでピンチを脱したがボールの支配はまだブルーウッドが握っている。
「ゆっくりでいい、ゆっくりで。」
ブライアンがボールを納めまたさばく、ゆっくりと丁寧に。
ノーマンズはと言うよりはノーマンズデフェンス陣は真綿でゆっくりと首を絞められてるようにジワジワと体力を奪われていく。
危険な場面が多く見える様になって来たがなんとか誠がボールに食らいついていた。
誠のユニホームは汚れ、誠も肩で息をする様になっていた。
サッカーは走り続けるスポーツであるが唯一運動量が少ないポジションがゴールキーパーであるが、ゴールキーパーというポジションは緊張を保ちシュートが飛んできた瞬間、あるいはその前後は相当のストレスとプレッシャーを伴う。
だから動いていなくても神経をすり減らした分、体力は奪われていく。