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2 魔法の杖とは

本日一回目の投稿です


 女の子のお尻に見惚れてる場合じゃない。

 ――と言いたいところだけど、これはガン見してる場合だ。

 命?

 もっと大事なものがあんだろうが!!


 ガサ、ガサガサッ!!


 俺がこの場所に転がり出てから、まだ数秒しか経っていない。

 俺を追って来ていたであろう何かが草を鳴らして近づいてくる。

 自然と女の子達のお尻に力が入っているのがよく分かる。

 臨戦態勢だ。


「今!!」


 再びの号令と共に、女の子達の股間の辺りに魔方陣のようなものが出現した。

 後ろからだと綺麗な太ももに隠れてよく見えないが、間違いない。

 パンツの同じ色で、半透明で、光っている。


 そして木々の間から飛び出してきた獣に向かって、二条の光が迸った。

 まさか、魔法!?

 

「ギャッ!?」


 黄色いのは逸れたが、赤いのが顔面に当たった。

 火属性か何からしく、命中した瞬間に爆発。

 衝撃で獣は吹き飛ばされて地面を転がった。


「もう一発!」


「うん!」


 獣に向けて、追撃が放たれる。

 地面に倒れていたせいか避ける事も出来ずに二発の魔法を受けて、獣はピクリとも動かなくなった。


「ふう、なんとかなったわね」


「ミレーのお陰だよ。流石委員長!」


「運が良かっただけよ。それよりも……」


 女の子達の会話が止まる。集まる視線。

 俺は相変わらず倒れたままパンツを見つめていた。

 

 流石にこのまま自己紹介ってわけにもいかない。

 しばらくパンツを眺めていたお蔭で体力も回復した。

 ゆっくりと立ち上がる。


「助けてくれてありがとう。俺の名前はタクトだ」


「私はミレー。で、こっちはリイラ」


「はじめまして! リイラだよ、よろしくね!」


 ミレーと名乗ったのは、金髪をポーニーテールにした、メガネの似合うクール系美少女。

 だけど性格はクールとはちょっと違って、棘を感じる。

 足は程よい太さでかつ引き締まっていて、とても良い。美人系に似合わずピンクの下着なのも堪らんです。

 身長は多分160cmくらい。

 

 で、もう一人は薄い紫っぽいツインテールの女の子。

 ミレーよりも少し小さい、155cmくらい。

 目が大きくて元気も良さそうな感じの美少女。

 脚はやや細めだけど、幼い感じが残ってるリイラにはよく合っている。素晴らしい!


 二人共同じくらいの歳なんだろうか。

 見た目とか雰囲気で言うとミレーは十六、リイラは十四くらいなんだけど。そのくらいなら誤差だろうしな。


 自己紹介を済ませた後、ミレーは獣をどこかへ仕舞ってしまった。 

 手に持ってるあの袋が魔法道具(マジックアイテム)なのかもしれない。

 普通の巾着サイズなのに、大きな死骸がドゥルンって呑み込まれていったからな。

 魔法以外に考えられない。


 リイラは落ちたスカートを回収していた。

 脱衣した後地面に投げっぱなしだったからな。

 片方をミレーに手渡すと、二人とも腰に回して留め具で固定した。


 ああ、パンツが見えなくなってしまう、ああ、あああああ……。


 おっと危ない。

 スカートを装着し直したミレーがこっちを振り向いた。

 よし、ばれてないようだ。


 ミレーとリイラが、少し距離を空けて座った。

 さっきまでぼーっとたき火を見つめてましたよ、という顔をしつつ身体を二人に向ける。

 何か言いたいことがあるって顔に書いてあるからな。


「見慣れない格好だけど……貴方、こんなところで何をしてたの?」


「ええっと、実は――」


 少し迷った。正直に話したところで、信じてもらえると思えないからだ。

 自分自身、まだ現状を呑み込めてないんだ。

 俺だって他人からそんなこと言われても何言ってんだこいつ、くらいにしか思わない。


 けど、知識もないのに適当な嘘を言ってもすぐバレそうな気もする。

 結局、素直に話すことにした。


 別の世界にいて、気付いたら森に居たこと。

 突然あの獣に襲われて、必死に走ってたら二人に出会ったこと。


 案の定二人は驚いていた。

 だけど、思った程ではなかった。疑ってるようにも見えないし。


「なるほど。あなた、異界人なのね」


「信じてくれるの?」


「稀にあるらしいからね。この国でも、何人か確認されている筈よ。伝承にも残ってるわ」


「ミレーのお家はね、すっごい大きな貴族なんだよ!」


「へー、すごいね」


「おじい様がそういうの好きってだけだから、貴族とかは関係ないわ。私は、魔法騎士になるんだから」


 ミレーが言うには、別の世界から迷い込む人は偶にいるらしい。

 この国でも異界人や、その子孫が暮らしているそうだ。

 正直に話して正解だったな。


「それにしても、二人とも強いんだな。さっきの魔法なんて、本当に凄かった」


 丁度俺から意識が逸れたから便乗して、話題を逸らしに掛かる。

 詳しく聞かれると絶対にボロが出るからな。


 とはいえ、二人のことや、魔法のことも聞いておきたいのは本当だ。

 さっきのパンツ丸出し状態は本当に謎だからな。


「セイルーン魔導国が誇るセイルーン魔法騎士団という騎士団があるの」


「ふむふむ」


 騎士団か。

 かっこいい響きだ。


「わたし達はその直属である、国立魔法騎士学院の生徒なのよ」


「へー、すごいな!」


「ふふ、それほどでもあるわ」


 ツンツンしてるクールな子かと思ったら、なんかチョロそうな感じがする。

 もっとおだててみるか。


 ヨイショしながら色々聞いてみた。

 ミレーはご機嫌で色々教えてくれた。


 リイラもドヤ顔をしているが説明には参加しない。

 多分そういう役割分担なんだろう。


 ここはサバイブ大森林という場所で、セイルーン魔導国の端にある。

 ミレー達は校外訓練の一環でここへやって来たらしい。

 

 セイルーン魔導国はその名の通り、魔法技術が発達している。

 その英知の中でも他国を一際震撼させたのが、≪希望魔具(パンドラパーツ)≫。

 要は、魔法の発動を補助するデバイスのことで、俺の分かりやすい感覚で言えば≪魔法の杖≫だ。


 その性能は圧倒的で、魔法を増幅し、詠唱を省略し、消耗を抑える。

 パンドラパーツは、駆け出し魔法使いでもそれまでの一人前の魔法使いと同等かそれ以上の魔法を行使とした。

 魔法の無い世界から来た俺でも分かる。冗談みたいな便利さだ。


 そのパンドラパーツこそが、ミレーとリイラの履いているパンツである。

 ……どうしてそうなった?



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