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13 見えればいいってもんじゃない

本日一回目の更新です。


 俺とリイラは、ミレーを迎えに行くことにした。

 

 その為に、まずは準備を整える。

 悠長に思えるかもしれないが、必要なことだ。

 パンツがあるとはいえ慢心してはいけない。


 それに、ミレーは今すぐに危険が及ぶことはない……と思う。

 なるべく急ぐから、待っててくれ。


 簡単に状況を説明しあったら、料理が届いた。

 二人して勢いよくかっこんで食らいつくす!


 ウサギ肉の炒め物みたいなものは普通に美味しかった。

 というか大体の物は塩がかかってれば美味しくなるから、塩はマジすごいと思う。

 白いご飯食べたい。


 腹ごしらえが終わった後は、装備だ。

 リイラの話では、襲撃してきたのは三人。

 さっきのあいつ以外にもあと二人いるってことだ。


 そいつらと遭遇戦になることを考えたら、このただのズボンとシャツじゃ心許ない。

 俺にはパンツがあるけど、何があるか分からないしな。

 備えあれば嬉しいな、だ!


「こっちこっち! あ、ここだよ! 良かった、まだあった」


「へー、なんというか……趣があるな」


 リイラの案内でやってきたのは、一軒のお店だった。

 なんというか、ボロい。

 ここもリイラが昔から知っていたお店で、その時からこんな感じだったっぽい。

 

 剣が交差するような絵の看板がぶら下がっている。

 これが武具店の目印かな?


「おもむき?」


「えーっと、なんか歴史が刻みこまれてそうな雰囲気的な」


「なるほど! タクトさん、難しい言葉を知ってるんだね!」


 実際は俺もよく分かっていない。

 リイラの知ってるお店だから、ストレートに言うのを戸惑った結果口から出ただけだ。


「とりあえず中へ入ろう」


「うん。お爺さん、いるー?」


 リイラが店の奥へ入っていく。

 俺も後を追う。


 おお、ここが武具店。

 いい、すごくいい。


 壁一面に、剣や槍、斧に盾がかけてある。

 どれもかっこよく、強そうだ。


 地面がむき出しの床には樽や箱がいくつも置いてある。

 その中にも武器が沢山突っ込まれている。

 扱いを見るに、セール品なのかな。


「おお、もしかして、リイラちゃんかい?」


「そうだよ、久しぶりだねお爺さん!」


「おお、おお、数年ぶりじゃな。こんなに大きくなって……」


 店の奥にいたのは立派な白い髭を蓄えた老人だった。

 頭には布のようなものをまいていて、元は白だっただろうエプロンは黒く汚れている。

 皺だらけで細く見えるけど、引き締まってるだけな気がする。

 

 これは出来るジジイだ。

 間違いない。


「あのー、はじめまして」


「ん、なんじゃお主」


「この人はタクトさん。異界人なんだって!」


「ほう。異界人じゃと?」


 訝しげに見つめてくる。

 リイラの雑な紹介の後は、かなり好奇心マシマシになった気がする。

 小さい眼なのに圧力がすごい。

 これが目力。

 ちょっと怖い。


「タクトっていいます。リイラの友達を迎えに行くのに、装備を整えたいんです。金貨一枚で見繕ってもらえませんか?」


 お金の価値はまだよく分からないが、装備は今後も必要になる。

 所持金の半分以上だけど使ってしまって大丈夫だろう。


「何やら訳アリのようじゃな。リイラちゃんの友達に何があったんじゃ?」


 爺さんは何があったのか知りたいようだ。

 ううん、説明するにしてもどこからどこまで説明したらいいか分からない。

 

「ええっと、詳しく説明したいんですけど、実はあまり時間がなくて……。ただ、リイラが学院の施設で襲われて、そこにまだ友達がいるんです」


「ふむ」


「自分で選ぶと時間が余計に掛かっちゃうので、すみませんけどお願いします」


「お願いお爺さん!」


 俺がお願いすると、リイラも一緒にお願いしてくれた。

 色々聞きたそうな顔をしていた爺さんも、リイラのお陰かにこやかな笑顔になった。


「……あいわかった。リイラちゃんの頼みでもあるし、ワシに任せておけい」


「ありがとうございます」


「ありがとうお爺さん!」


「それくらいお安い御用じゃよ」


 爺さんはニカッと笑った。

 そこからの動きは素早かった。


 あっという間に俺の装備一式を用意してくれた。

 内訳は長袖のシャツ、革鎧、膝と肘のプロテクター。

 革のベルトに剣と鞘。


 剣はショートソードと呼ばれるもので、これは刃渡りが五十センチくらいかな。

 剣としては短いらしいけど結構重たい。

 パンツの力抜きだと、この重量でも少し振り回したらバテそうだ。


「準備出来た?」


「おう、ばっちりだ」


 部屋の奥からリイラが出てきた。

 ミニスカートを履いていて、腰には俺と同じような剣を装備している。


 ああ、さっきまでパンツも太ももも見放題だったのに。

 でもま、ずっと出されてると多分興味も薄れていってしまうし、隠してくれた方が尊さが増すだろう。

 ミニスカでも十分エロ可愛いしな!


 ちなみに、リイラは愛用の剣も持っているらしいが、それも預けてあったから今はないそうだ。

 森の中で出会った時は二人とも剣は装備してなかったと思うけど、何か理由があるんだろうか。


「それじゃあ気を付けて行ってくるんじゃぞ」


「はい、ありがとうございました。代金です」


「うむ、確かに。返って来たら詳しく話を聞かせてもらうぞ。それに、異界の話も聞きたいしのう」


「お爺さん、ありがとう!」


「リイラちゃんも気を付けての」


 爺さんにお礼を言って、店を出る。

 目指すは学院の所有してるらしい建物。


 ああ、なんかドキドキしてきた。

 ぶっちゃけ小心者だから、緊張する。

 もっと段階を踏んで異世界感を味わいたかった。


 でも、恩人の為だ。

 ここでやらなきゃ男が廃るってもんだよな!

 


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