第8羽 天然
読んで頂き、感謝いたします。
「こんな場所に茶毛の子猫かい。こっちにおいでな。」
散歩でフラッと寄った占い舘。
そこには、しわくちゃの婆さんがいた。
オヤツでもくれるのか?
そう思い近よると、
「おや?お前さん、マルコの聖獣シャルベーシャじゃないかい。」
俺はドキッ!とした。
何者だこの婆さん?
「我の名を知る物よ、お前は何奴だ。」
子猫のままで話し掛けたら、
「儂かい?わしはヤクシニー。この、全てを見通す水晶は騙せないのさ。」
水晶‥?マジックアイテムか?
「老い先短いがシャルベーシャよ、儂の使魔にならんか?」
「断る。」
「なんだい、ケチ臭いね。」 「フン!」
「けどね、水晶に出てるよ。何時か儂の血族の誰かが、お前さんを使魔にするとね。」
「我が認めなけりゃそんな事にはならん。仮になったとしても、我の魔法で解除するだけだ。」
「そりゃ無理じゃよ。呪いや魔法と違うから、一度契約が成立したなら解くことはできんよ。」
「それは、どお言う意味だ。」
「どうも、こうも無いさね。互いの魂に刻まれる血の契約だからね。」
「魂の‥‥?」
「そうさ。神やマルコでも無理さね。そんなに嫌なら魔女の血に触れぬようにしな。まあ、無理だと思うけどね。イッヒヒヒヒ~」
▲▽▲
大量のホタテを食べ、昼寝をして昔の出来事を夢で見ていたら、
「あれ?もしかしてチャコ?チャコなの?」
偶然は3度まで4度目があったなら、それは必然だ。
あれだ。
おそらく、最初の馬車だ。
マリアはヤクシニーの血族。
軽い気持ちで使魔に‥‥何て考えたんだろう。
俺はマリアの行動力と勇気を認め、傷付いたマリアを治癒するため、天使の翼を患部に触れた時、
血の契約が成立してしまったに違いない。
俺の恐れていた重要案件とは、正にこれだ。
この世界に来て220年。
‥‥失態だ‥‥
こんな娘の使魔になるとは‥‥
いや、待てよ。
マリアに着いていれば、飯の心配しなくて良いんじゃね?
俺に比べ人間の寿命はあっと言う間だし、
上手くマリアを育て上げて、血の契約の解除方法を見つけ出してもらう。
それもありじゃね?
腹を括ろう!
「やっぱりチャコだ!」
「ミャーアー」
「何で、こんな漁村に‥‥?私達が護衛してきた馬車にいたのね!チャコ!」
「ミー」
「私決めた!決めました!チャコ、私の、私マリアの使魔になってくれる?」
今さら‥契約は成立しているのに。
あれだ!天然だ。
今度はナイフを‥指先を切って、ワザワザ血を出しやがった。
「我、マリアは汝チャコと血の契約を結ばんとする。」
大袈裟だ。
「チャコ、はい。」
血の指先を差しだて、舐めろってか?
(ペロッ)
‥‥なっ!‥‥何っ!‥‥
この娘の‥‥記憶が‥流れ込んでくる‥グッ!‥
‥ヤクシニー‥クッ‥‥あれ?‥‥もしかして‥‥
俺、やらかした?
これが、血の契約だ‥‥ヤッチまった。
「やった!これで私とチャコは一心同体ね。」
俺の早とちりで‥‥
既に腹を括ってたんだし。
問題ないよな。
だよな?
もしかして、俺が天然か?
〇
猫天使 オス
(有翼の獅子)(聖獣シャルベーシャ)
普段は茶色い子猫
背中に天使の様な小さな翼を隠している
年齢 14才プラス220才
スキル
マジックブレイカー
マジックロード
(レベル1000)
〇
マリア 女 (ヤクシニーの血族)
駆け出し冒険者 魔法職(魔女)
年齢 18才
スキル 炎 水 風の魔法が得意
(魔法レベル 16)
生暖かい目で、宜しくお願いします。