第6羽 干し鮭
読んで頂き、大変ありがとうございます。
急ぐはいいが、どうしたもんか悩む俺。
仕方がない。
その辺の漁師を捕まえ聞こう。
と思い船着き場に向かっていると、血の匂いが漂ってきた。
匂いを辿った結果。
ゴンゾーはグレー判定。
死んでいた。
かなり争った形跡がある。
この小屋には3つの匂いがある。
死んだゴンゾーの血の匂い。
シーナーガのセンリに似た匂い。
天井に干してある、鮭の匂い。(グウ~)
まず、腹ごしらえだ。
干し鮭をご馳走になる猫な俺。
腹が減らない魔法があるだろう?って、確かにある。
しかし、敢えてそれはしない。
[食べる]と言うことは[生きる]と言うこと。
生き物の最低条件は[食]と考えている俺。
ただ、食べ過ぎには要注意。
塩分もだ。
そんな事はどうだって‥‥腹がきつくなり‥‥
睡魔が友達な俺。
又、夢を見た。
▼△▼
俺は悪魔の存在を信じなかった。
最高の善と絶対の悪。
よくそんな事を耳にしていたが、信じなかった。
猫天使と呼ばれていたからか、もし悪魔がいても目じゃない。
と、あの時までは思ってた。
ある時、砂漠の真ん中で鷲の翼を広げて日光浴をしていたら、
「すいませ、少々お尋ねしたいことがあります。」
優しい声の方を見ると、白い仮面を着けた銀髪の女のような男がいた。
俺はつられて、
「はい。何でしょう?」
と丁寧に答えた。
これが良かった。
「妖精を連れた変な黒いドラゴンを見ませんでしたか?」
名前は忘れたがあいつだ。
「妖精は見なかったが豪快な黒いドラゴンは、みました。」
「奴等、別行動したな‥‥それで?」
「オセロして焼きそば食べて帰りました。」
「他に何か言ってましたか?」
「バレたらヤバイとか言ってましたよ。」
「それはいつ頃の話しですか?」
「3ヶ月くらい前です。」
「3ヶ月‥‥時間軸にズレがある。研究室のデータ分析を一からやり直しだ。」
「ありがとうございました。 行くぞ。」
「ハッ。」
と、最後に一言だけ返事をした奴がヤバイ。
俺の直感が告げた。悪魔だ。
主人の会話を邪魔せず、と同時に周囲を警戒し、常に状況の把握をしていた。
まるで、筆者の様な佇まいの黒髪赤メッシュ。
俺と同等。いや俺より上だ。
あれが悪魔だ。
だが、そんな悪魔を僕にできる銀髪は何者?
魔族の王様? 魔王か‥‥
最初の対応が良かった。
何時もの感じで、「何奴だ!」と横柄な態度であったなら、虚空の彼方に飛ばされてたに違いない。
△▼△
と言う昔の出来事を夢でみていたら、
外が騒がしいのに気がつく俺。
既に囲まれている。
猫達に。
□
オイラはこの村を縄張りにしているボス猫。
子分は全部で6匹いる。
オイラ最強!
今日は3日ぶりにゴンゾーじーの小屋へ忍び込み、干し鮭パーティを計画した。
立案猫は、俺の右前足のクロだ。
何時も通り周囲を警戒しながら、包囲陣を狭め順番に中に入ろうとしたときに、小屋の壁板の隙間から子猫がでてきた。
出鼻を挫かれたのか、2番手の子分ポンタが、
「ニャ~ゴ~ニャ! (おい!お前!待て!)」
見慣れない
茶毛チビを呼び止めたが無視だされた。
ここは俺の出番だボスの貫禄を見せねばな。
(猫語略)
「おい。待ちな。」
「僕はワルい子猫じゃないよ。」
「何処からきた!」
「ママを探して旅をしてる可哀想な子猫だよ。」
「オイラ達の縄張りに入って、挨拶なしか?」
「ゴメンよ。急いでいるから。またね。」
小屋の様子を見に行ってた3番手のミー助が、
「親分!大変だ!じーさんが死んでるぜ!しかも、ワイ達の鮭も食い荒らされてますワ!」
なぁ~にぃ~やっちまったな!
「おい!チビ!!‥‥‥」
いねえ?
「オヤビン!シマジローと花ちゃんが、奴の後を追ってます。」
4番手のキクリンが報告してきた。
「野郎ども!あのチビを捕まえろ!」
「「「「へい!」」」」
やっちゃいけない事を仕出かした。
子猫が人間を殺せるわけはない。
そんなのはどうだっていい。(良くないが。)
オイラ達の鮭を、横取りしたのが許せん!
絶対に許せん!
食い物の恨み、目に物を見せてやる。
オイラは最強のボス猫ピーちゃんだ。
生暖かい目で、宜しくお願いします。