第4羽 ホタテ
読んで頂き、誠にありがとうございます。
俺は猫。
たまに猫天使なんて呼ばれこともある。
今は海を見て黄昏ている。
違う。
漁師のおこぼれを狙って海にきている。
これも違う。
重大な案件が発生したため、それを確認するべく昨日、一晩かけ海まで飛んできた。
それにしても、海は穏やかで波の音が心地‥‥
一晩起きていたせいか、眠い‥‥
俺は最近よく夢を見る‥又夢を‥‥
△▼△
「ミーミー(まだオッパイ)」
「ニャアー(もうおしまい。)」
「ミー(なんで!)」
「ニャアーゴー(乳離れよ。)」
「乳離れ?」
俺は突然覚醒した。
それと同時に、背中に2つの突起が現れ、くの字に曲り、小さな羽が生えた。
いま分かったが、産まれて今日まで、母猫の母乳により免疫力の強化やウイルス等の抗体を体内とり入れるため、一心不乱に母乳を飲む必要があったのだろ。
高橋疾風の記憶を持ったままなら、大変なことになってただろう。
「母猫よ、今日までありがとう(ミーミャーミャー)さらばだ。(ミャー)」
覚醒したら、魔法の使い方や空飛ぶ獅子に戻る方法が手にとる様に分かる。
やっとだ。
やっと自力で大空を自在に飛べる。
先ずは獅子の姿に‥‥ただ戻るのもなあ。
何か良いワードはないかな?
変身!は在り来たり。
ケセラセラ!アホか?だし。
ん‥‥ライオンハート!は解散したし。
テクマクマヤコン!はパクりだし。
ガイアー!も違う。
ライオン!ライON!で良いや。
その前に喋れるのか?
「ん!ミャ‥‥んッんッ!アーアーワレワレはカセイジンダ!となりきゃくはへをこいた。」
いい感じジャネ!
それではいざ。「ライON!」
オオオー!グレイト!((バサ!バサ!))
ジャンプ!(((バサバサバサバサ!)))
気持ちよか~
翼を手に入れて暫く大空を満喫した俺。
時間にしたら、15分か。
飽きた。なんせ猫だから。
飽きて猫に戻り又、ライONを繰り返した。
空には俺の敵は居なかった。
いや。
1度あった。後にも先にも1度だけだ。
そいつは黒いドラゴン。
異世界から来たとか言ってた。
「ガハハハハ!お主なかなかやりおるのお。」
豪快な奴だった。
勝負は互角。
何を競ったかって?喧嘩?まさか。
オセロだ。
確かそいつの名前は‥‥
忘れた。
空間の裂け目からオセロを取り出して、
「ガハハハハ!これで勝負しょうではないか。」
と言い出して、
「チョットたんま!今、空間が裂けたけど、あれは何だ?」
と疑問をぶつけた。
「おーあれはだな、多次元領域に存在するデットスペースを集めて、空間拡張を‥‥」
「すまん!聞いた俺が悪かった。」
中二の俺の頭では理解できない。
オセロは俺が負けた。
2枚差で奴の勝ちだ。
気落ちした俺を見て奴は、
「獅子よ、細かいことは気にすでない。
これでも食べるがよい!」
奴は、何時の間にか屋台の鉄板で焼きそばを作り俺に振る舞ってくれた。
「そろそろ戻らねばバレてしまう‥‥
獅子よそれでは失敬するぞ。息災でな。去らばじゃ!」
慌ただしく足早に去って行った。
豪快な奴だった。
▽▲▽
と言う昔の出来事を夢で見ていると、
「もし、もし、そこの御方。」
誰だ?
目を明けて辺りを見渡すと、海の中から顔を覗かせた女と目が合った。
シーナーガ[海蛇女]だ。
「もし、貴方様は有翼の獅子様では?」
数十年ぶりかに、その名で呼ばれた。
しかし眠たかったから無視した。
俺は猫だから。
「お力を御貸しください。獅子様。」
おちおち寝てもいられない。
重要案件が発生するまでに、俺の計算が正しかったら猶予は5日。
5日後に何も無ければ問題は解決だ。
「シーナーガ、その名を知る者よ。何ようだ。」
「はっ!私はシーナーガのセンリ。我が娘マリが人に捕まり行方知れずになりました。
お力を御貸しください。」
5日間、暇だしな。
「シーナーガのセンリよ、お前はその代償に何を支払う。」
「私の命を差し出します。」
「では、旨そうなホタテを差し出せ。」
「はっ。仰せのままに。」
俺、ホタテが好物な猫。
〇
シーナーガ [海蛇女] センリ
上半身は人、下半身は海蛇
シーナーガは女系の種族。
人魚種からの変異種。
その為、血と肉は霊薬とされ生け捕りされる事が多い。
レベル 20
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