第2羽 良い具合
読んで頂き、誠にありがとうございます。
俺は猫。
猫として転生する前は人間だった。
14年の短い生涯だったが、楽しい人生を送った。
確かあれは、小6の時だ。
映画[チャーミング エンジェル]を見て衝撃を受けたのだ。
大富豪が美女を3人使い、探偵をやらせる。
そんな話だ。
問題はその美女だった。
ルーシーの小柄な体。
ドリューのデカイ胸と尻。
キャメロンの笑顔に金髪。
この3人を足した女性が、俺の理想に確定した瞬間だ。
バカ犬に襲われた時、治癒するために胸に飛び付いたが、ガサつくローブで分からなかった。
しかし、
現実は小柄ながら巨乳で引き締まった腰。
存在感をアピールしている尻。
そして、サラサラの金髪に青い瞳の笑顔。
しかし、一ツ残念お知らせだ。
それは鼻だ。
あと5ミリ高ければ、欲を言えば目尻が後2ミリ上がってたらドンピシャだ。
そう自分に言い聞かせた。
何を言いたいかって?
理想のメスを追い求めるのはオスのロマンであり
俺は金髪が大好きだってこと。
なんせ、俺は猫だから。
(猫あんまり関係なくね)
だが。理想に近い金髪女を傷付くのを無視は出来ない。
目の前で死なれても、夢見が悪いしな。
まずは、マリアを傷付けたスケルトン達を始末する。
良い具合にマリアは気絶したし、外の連中も朦朧としている。
俺は、真の姿になった。
体長3メートルのライオン。
背中には大鷲の翼を持ち、広げたら18メートルが俺だ。
一斉にこっちを振り向くスケルトン共に、俺は聖なる魔法 ホーリーシャィニングを口から放った。
聖なる光りを浴びたスケルトン共は、次々と灰になり浄化して行った。
古ぼけた武器だけが後に残る。
討伐は完了だ。
後は元の姿の子猫に戻り、何食わぬ顔で、
「ミャー」
と1つ鳴き、マリアの顔にすり寄った俺。
さっきのホーリーシャィニングは結構な優れもので、アンデットモンスターを倒すと同時に、弱った人間の心と体力を回復させる魔法だ。
濃かった瘴気も消えている。
「あれ?スケルトンが消えてる。」
俺がやった事を、チョットだけアピールして、
「ミャー」と鳴いて見た。
「チャコ。これチャコが‥‥そんな訳ないか。」
そんな訳はある。
敢えて、その後は無視。
気合い入れて魔法を使ったせいか、急に睡魔が襲ってきた。
そして、爆睡な俺。
また、夢を見た。
▽▲▽
「それって、聖獣の〇×÷★#%◎‥‥ですか?」
「やはり私が見込んだ事はある。」
「聖獣とは大袈裟過ぎて、目立ちませんか?」
「そうだね‥‥それじゃ普段は子猫の姿にしよう。空を飛びたい時だけ獅子の姿でさ。」
「そうして貰えれば助かります。ただ、子猫じゃ異世界で暮らすには厳しいのでは?」
「それじゃ、マジックブレイカーとマジックロードの称号に、レベル1000でどうなか?」
「それってどんなスキルですか?」
「君が行く世界の全ての魔法の効果を無効にする、ブレイカー。と、全ての魔法を使え、無い魔法は自由に造れるロード。そして、私と同じレベルの1000。1000より低い者の攻撃も無効だよ。」
「それだけあれば、何とかなります。」
「それとね、親猫から生まて乳離れしたら、覚醒するようにしておくから。覚醒したら成長は止まり、14才の高橋疾風として行動できるからね。」
「分かりました。ありがとうございます。それと、もうマルコさんには会えないのですか?」
「ん~。1度だけ。本当に困った時に1度だけ私の名前を叫びなさい。」
「ありがとうございます。」
△▼△
と言う、昔の出来事を夢で見ていると、
「チャコ。チャコ。(ツン、ツン)お腹空いてないかな?」
その名で呼ぶな。
それっぽく1度前足と背中の伸びをして、
「ミャー」と鳴く俺。
待てよ。何でマリアが俺を抱いている?
そっか。久々に魔法を使って寝てたんだ。
ここは、ギルド支部だ。
マリアの腕から下りて、
「あっ。チャコ。」
隣接する酒場の長椅子で又、寝る俺。
寝惚け眼でマリアの様子を見ていると、どうやらレベルが少し上がったようだ。
スケルトンの討伐部位は右の肩甲骨だったはず。
俺が灰にしたからな。
どうやら、古びた剣で何とかなったらしい。
めでたしめでたし。だろう?
(グゥ~)しまった。
飯を貰いに又、マリアの足元にジャレて腹減りアピールする俺だった。
「ミャー」
〇
猫天使 オス(聖獣〇×÷★#%◎)
茶色い猫
背中に天使の様な小さな翼を隠している
年齢 14才プラスα
スキル
マジックブレイカー
マジックロード
(レベル1000)
〇
マリア 女 (金髪)
駆け出し冒険者 魔法職
年齢 18才
スキル
炎 水 風の魔法が得意
(魔法レベル 16)
生暖かい目で宜しくお願いします。